Join in SAJ:成功企業によるケーススタディ
<株式会社ヴァル研究所>

2024年5月17日

2021年にスマートシティ研究会を新設し、翌年、佐賀県武雄市と包括協定を締結したのち、研究会メンバーでコンソーシアムを作り、同市で2024年3月に人流データプラットフォームをリリースしたスマートシティ研究会の主査を務める株式会社ヴァル研究所 菊池宗史社長にお話を伺いました。

取材に応じていただいた菊地 宗史 社長 @ヴァル研究所
はじめに、御社の事業について簡単にご紹介をお願いします。

弊社は1976年創業の48期目を迎える会社で、設立当初は、社名の由来「Very Advanced Language」のとおり、コンピュータ言語を研究・開発していました。創業10年ほど経過した頃、経路案内システムが社内に提案され、 プロジェクトがスタートし、そこから「駅すぱあと」が誕生しました。「駅すぱあと」はYahooの経路検索に採用されると、認知度も向上し、官公庁や様々な企業の出張・通勤費精算などでも活用されるようになりました。現在はパッケージより、Web・アプリ・APIなど、顧客の仕様に応じた形式で、様々な企業の裏側で連携したサービスを提供しています。

SAJ加入のきっかけについて、ご存じの範囲でお聞かせください。

25年以上も前のことなので、推測になってしまいますが、当時インターネットが普及し、Yahoo!JAPANで経路検索サービスがスタートしたころでした。おそらく、PMSの観点からプライバシーマークを取得しようと考えたことと、IT企業同士のつながりを持ちたいと考えたのだと思います。

これまで、協会のどのような活動に参加しましたか。

私は、10年ほど前に弊社に入社したのですが、その後SAJの存在を認識しました。毎年、賀詞交歓会のような交流会やコミュニティには何度か参加していたので、その中で様々なIT企業の方とつながりが作れるような印象を受けていました。そのような時、前会長である荻原名誉会長(株式会社豆蔵K2TOPホールディングス 代表取締役会長兼社長)と名刺交換し、気さくな意見交換をさせていただいた際に、SAJでは様々な取り組みができるから積極的に活動に参加したほうがいいよ、というアドバイスをいただきました。ちょうどそのころ、スマートシティに関する取り組みを行ってみたい、と思っていた時でしたので、荻原会長にもご協力いただき、スマートシティ研究会を新設し、また、地域デジタル推進委員会にも参加するようになりました。

SAJの活動に参加して、ビジネスに役立ったことはありますか。

例えば、スマートシティ研究会に関してですが、行政のスマートシティ化については、かねてより取り組みたいとは考えていたものの、個社では、案件・入札ありきで、フィルターを通した表面上の話しか聞くことができません。しかし、SAJの仕組み(2社以上の正会員が集まれば、自由に研究会を設置することが可能)を活用すると、同じ目的を持つ「同志」を集めるだけでなく、行政とも踏み込んだ話が直接できるようになり、そこから本音の課題なども聞けるようになりました。そういった意味では、SAJはプラットフォームのようなもの、という認識をしています。また、参加メンバーに関しても、他社の事例や温度感など、生の情報を得ることができた点がよかったです。

賀詞交歓会のような大きい交流会は年に1回しかありませんが、委員会・研究会に関しては、定期的な会合がありますので、それに参加することで一定のメンバーと会う機会が増えると、その方々との親睦が深められ、ビジネスにつながるようになっていきました。

理事になってからは、経営層の方とのつながりをより多く構築できるようになりましたし、業界団体として、国にどのような政策提言をしているのか把握できるという点も非常に勉強になっています。

御社が感じる最近の課題をお聞かせください。

中途採用、でしょうか。新卒採用は毎年コンスタントに行ってますし、昔から定着率が高く、退職者も毎年1人いるかどうかという程度で、創業歴もあることから定年退職を迎える社員も多数います。しかし、中途採用に関しては、思うようにできておらず、その影響もあり、人材不足が解消できておりません。

また、コロナ以降、社員の9割がテレワーク勤務になってしまったことから、社内コミュニケーションも課題の一つ、と捉えています。この点に関しては、状況を好転させるべく、全社会議やアイデアソン、エンジニア勉強会といった企画をあえて現地で行い、会う機会を作る、という方法で取り組み始めています。オンラインだからこそ、コミュニケーションをとる必要性について、社員それぞれに考察してもらいたい。私は、相手の「人となり」がわかっている方がビジネス面でも上手くいく、と考えているのですが、直近で行った全社会議・交流会では、社員の7割くらいが出席してくれましたので、社員の多くも、コミュニケーションの必要性を感じていたのではないでしょうか。こういった対面で会う機会を定期的に作り、コミュニケーションを円滑に取ることによって、一人一人の業務効率化や業務力が向上すると嬉しいです。

SAJの活動でこんなことがあるとよいな、と思うものがあればお聞かせください。

SAJの拠点が東京ということもあり、交流イベントはどうしても首都圏が中心となってしまいます。地方の方が、会合の都度、東京に上京するのはハードルが高いため、もう少し地方分散できれば、地方の方も参加・加入しやすくなるのではないか、と思っています。地域デジタル推進委員会では、地方に担当理事を配置し、情報提供・交流会を開催してはいるものの、全国に9拠点あり、リソースも限られていますので、1拠点で定期会合を開く、というのは困難です。各拠点で自走してくれると良いですが、旗振り役がいないと難しいため、悩ましく感じています。地域の経済産業局の方と連携できるとよいかもしれません。

SAJの活動でこれからどのようなことを行いたいと思いますか

スマートシティ研究会の取り組みは、今後も継続していきたいです。各地域の課題があると思うので、研究会を通じてそうした課題解決に寄与できればと思っています。また、地域デジタル推進委員会で九州担当理事を拝命していますので、地方の会員も増やしていきたいです。

新入会員やSAJの活動になかなか参加できていない会員企業に向けてアドバイスをお願いします。

まずは、交流会の参加から始めると良いのではないでしょうか。よく名刺交換しただけで終わってしまう、という方もいらっしゃると思いますが、できれば、そこから1社か2社でもアポイントを取って、会社紹介をするフェーズにまでもっていく。SAJには、普段お会いできない、優秀な方々が沢山いらっしゃいますので、「商談」という切り口ではなく、何かを相談する相手としても、利用しない手はないと思います。

今後は、私がお誘いしてご加入いただいた企業でグループを作り、オフ会みたいなことをやってみたいです。紹介企業に対してそうしたサポートをすることによって、仲間をどんどん広げていけると良いのではないかなと思っています。

会社基本情報

企業名 株式会社ヴァル研究所
代表者 菊池 宗史
社員数 171名(2024年4月時点)
会社URL https://www.val.co.jp/
業種業態分類 ベンダー企業(BtoB・B to C・その他)
パッケージ・SaaS、受託開発、SI、Web関連
主なクライアント 運輸業、不動産業、複合サービス、その他サービス業
SAJ入会年月 1997年 7月
取材日 2024年4月30日
対応者 代表取締役社長 菊池 宗史 様

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