「新春座談会」開催レポート
2022年2月1日
令和4年1月19日、特別企画として「新春座談会」をオンラインにて開催しました。本来は、帝国ホテル 東京にて年初恒例となる「新年賀詞交歓会」を開催する予定でしたが、新型コロナウイルスが変種株を中心に感染拡大したことを受け、大変残念ながら開催を見送り、今回の「新春座談会」をオンライン開催する運びとなりました。
開会挨拶
まず、SAJ荻原会長による「開会挨拶」です。新年のご挨拶から始まり、会長就任からこれまでの8年間を振り返るお話しとともに、会員の皆様への感謝と今後の抱負を述べました。
「開会挨拶」 SAJ 荻原 紀男 会長 | |
来賓挨拶
今回の「新春座談会」では、来賓として、経済産業省 経済産業副大臣 石井 正弘様とデジタル副大臣兼内閣府副大臣 小林史明様よりご挨拶をいただきました。
石井経済産業副大臣は、「昨年10月に新たに発足した岸田内閣により、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現が掲げられた。その実現のためのカギは、社会全体のデジタル化にある。政府一丸となって誰一人取り残さず、すべての方がデジタル化のメリットを享受できる社会を目指していく。」と述べられました。
小林副大臣は、「デジタル庁の一番はじめのミッションは『G to G』であり、自治体や各省がスマートにサービスを提供できる様にデジタルインフラを提供していくことだ。その先に、『G to B to C』や『G to B to B』があると考えており、デジタル庁のデータ基盤とソフトウェアサービスをAPI等で連携することで国民に利便性の高いサービスを提供することを強化していきたい。また、今後は、デジタル改革だけでなく、ソフトウェアの時代に合わせた行政改革や規制改革も進めていきたいと考えている。」と述べられました。
「来賓挨拶」 経済産業省 経済産業副大臣 石井 正弘様 | |
「来賓挨拶」 |
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座談会
座談会は、来賓挨拶に続き小林副大臣にご登壇いただきました。SAJからは荻原会長・水谷筆頭副会長・田中筆頭副会長が登壇し、下記3つのテーマについて議論しました。
座談会のテーマ
1.マイナンバーカード普及とデジタル庁における自治体システムの開発体制について
2.デジタル基盤確立のためのジャパンデータセンターの創設について
3.今後のGIGAスクールの関り方について
「新春座談会」 デジタル副大臣兼内閣府副大臣 小林史明様 SAJ 荻原 紀男 会長 SAJ 水谷 学 筆頭副会長 SAJ 田中 邦裕 筆頭副会長 | |
テーマ1「マイナンバーカード普及とデジタル庁における自治体システムの開発体制について」
まず、マイナンバーカードの普及について、SAJ水谷筆頭副会長は、「マイナンバーカードは、これからの日本を変えていくためには絶対に必要でありポテンシャルは高い。ただ、安全性の懸念(個人番号がカード面に印字されている事など)を感じる。」と指摘するとともに、より安心して利用できるデザインへの変更要望を上げました。それに対して小林副大臣は、「懸念点を解決するためにはチップの読み取りですべてを対応する必要がある。そのためには様々なインフラを整えていく必要があるが、きちんと対応していきたい。将来的には、カードをスマートフォンに搭載できるようにするなど検討していきたいと考えている。」と述べられました。
続いて、自治体システムの開発体制について、SAJ荻原会長より「地方のローカルベンダーからは、『デジタル庁にて地方自治体のシステム開発も対応するとなると、仕事を失うのではないか?』という声を聞くことがある。こういった懸念について、デジタル庁はどう考えているのか伺いたい。」と述べました。それに対して、小林副大臣は、「自治体向けにデジタル庁が提供するガバメントクラウドで動くシステムを、地方のローカルのベンダー様も含め皆様でどんどん作っていっていただきたいと考えている。そうすることによって、ある地方のサービスが日本中の自治体で採用されるような下剋上的なチャンスも秘めている。」と回答されました。
テーマ2「デジタル基盤確立のためのジャパンデータセンターの創設について」
SAJ田中筆頭副会長が、「デジタル庁の要件にあるクラウド基盤を構築しようとすると、相当な開発体制が必要だ。今は半導体不足が原因でビジネスが止まるという状況が起きているが、今後はクラウドが調達できなくて、ビジネスが止まるということが起きてしまうのではないか?と懸念している。国内のクラウドベンダーだけでなく、海外のクラウドベンダーも含め、クラウド基盤を作ろうとしている事業者をどのように支していただけるのか?教えていただきたい。」と投げかけました。小林副大臣は、「国からの支援というと補助金というお話が出てくる。しかし、補助金は持続可能ではないので政府調達を経済成長のトリガーとしては捉えてはどうかと個人的には考えている。これからは、デジタル庁や政府全体、自治体のクラウドもあり、政府の調達であれば中長期の計画が出せるはずだ。」と回答されました。
テーマ3「今後のGIGAスクールの関り方について」
SAJ荻原会長より、「GIGAスクール構想がスタートしたものの、紙のアナログ時代よりも子どもたちの教育能力に差が出てしまうのではないか?と危惧する意見が出ていると聞いている。昨年夏にデジタル庁が『GIGAスクール構想について、教育に携わる皆様へアンケート』を実施していたかと思うが、今後、GIGAスクール(デジタル教育)に関して、デジタル庁はどのようにかかわっていくのか教えていただきたい。」と投げかけました。小林副大臣は、「デジタル庁は、既にGIGAスクールに関わっているが、今後も2つの点で関わっていきたいと考えている。まずは、『端末と通信環境の整備』。これに関しては1月に文部科学省とデジタル庁の連名で全国の都道府県にそれら整備に関する案内を出している。そして、『国と地方のガバナンス』と『教育DX』を推進するための規制改革だ。教育のインフラとして通信端末が必要だと訴えても、導入が進まない自治体があり、それが数年間放置されているという国のガバナンスでが効いていない状態である。端末が普及しても、これまでと同様の教育を行っていては意味が無い。これまでの受け身の授業から、子どもが自ら単元や科目を選べんで自ら知識を取りに行けるように他省庁とも連動して進めていきたい。」と述べました。
最後に、SAJ荻原会長は、「短い時間だったが、小林副大臣には非常に示唆のあるお話をいただいた。我々は、デジ庁の足を引っ張るのではなく、日本のデジタル化を推進するために、デジ庁の活動に参加し・支えていかなければいけない。」とまとめました。
当日は、約120名様にご視聴いただきました。ご視聴いただきました皆様、誠にありがとうございました。
「新春座談会」の映像について
今回の新春座談会の映像は、SAJの公式YouTubeチャンネルに公開しております。その他の映像もあわせて、ぜひご覧ください。