「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更に当たっての 周知・啓発に向けたお願いについて

2024年8月6日

省庁・団体名

厚生労働省

内容

 本日、過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)第7条第5項により準用する同条第2項の規定に基づき、変更された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定され、同条第5項により準用する同条第4項の規定に 基づき、国会への報告及び下記1のとおり厚生労働省ホームページにおける公表 を行ったところです。
 同大綱は、同法第8条から第11条までに規定されている「調査研究等」、「啓発」、「相談体制の整備等」、「民間団体の活動に対する支援」の各対策を効果的に推進 するため、政府における取組とともに、下記2のとおり事業主等における取組に ついても同大綱第4「国以外の主体が取り組む重点対策」に定めています。
同大綱の趣旨を御理解いただき、関係団体・会員企業等に対する同大綱の周知・ 啓発に御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 また、同大綱においては、過労死をゼロにすることを目指し、労働時間、勤務 間インターバル制度、年次有給休暇及びメンタルヘルス対策について数値目標 (別添)を設定し、国、地方公共団体、事業主等の関係者の相互の密接な連携の下、早期に達成することを目指すこととしていますので、この点についての御協 力も賜りますよう、お願いいたします。

                        記

1  過労死等防止対策大綱(以下のサイトより本文をご覧いただけます)
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41932.html                             

                                 

2  過労死等の防止のための対策に関する大綱(令和6年8月2日閣議決定)
(事業主等の取組部分抜粋)

第4 国以外の主体が取り組む重点対策
 地方公共団体、労使、民間団体、国民は、法の趣旨を踏まえ、国を含め相互に協力及び連携し、以下の視点から、過労死等の防止のための対策に取り組むものとする。

 2 事業主等
 事業主は、法第4条において、国及び地方公共団体が実施する過労死等の防止のための対策に協力するよう努めるものとされている。また、労働契約法第5条において、使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとすると規定されており、労働安全衛生法第3条第1項において、事業者は、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならないと規定されている。
 長時間労働の削減や年次有給休暇の取得促進等の積極的な取組は企業価値を高めること、また、過労死等を発生させた場合にはその価値を下げることにつながり得ることから、企業の規模にかかわらず取組を進める必要がある。
 これらのことから、事業主は、国が行う第3に掲げる対策に協力するとともに、労働者を雇用する者として責任をもって過労死等の防止のための対策に取り組む。
 また、事業主団体・経済団体は、個々の事業主では改善が困難な長時間労働につながる商慣行の是正に向けた取組を推進していくとともに、会員企業等に対し過労死等防止のための必要な支援や情報提供に努める。
 なお、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の 確保等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律において、職場におけるハラスメントについて、事業主は、雇用管理上の措置を講じなければならないことや事業主の責務が規定されている。

(1) 経営幹部等の取組
 過労死等の裁判例においては、法人としての安全配慮義務違反や法令の遵守が徹底されていなかったことが指摘されていることに加え、過労死等を発生させた場合には、企業価値の観点から企業の信用を失うことにもつながるものであり、企業の経営幹部等はこうしたことを十分に認識し、過労死等は発生させないという決意を持って関与し、先頭に立って、労働者の生命を守り、健康を害するような働き過ぎを防ぐための対策を行う。具体的な対策として、近年、過労死等は、働き盛りの年齢層に加え、若い年齢層にも発生していることを踏まえ、自社の労働時間管理の制度や運用を含めた人事・労務の点検・見直しに取り組むほか、労働者に対する労働関係法令の周知は事業主の責務であることを踏まえ、管理職等の上司はもとより、若年労働者自身に対する労働関係法令に関する研修等を通じて、過労死等の未然防止に努める。また、年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度の導入、メンタルヘルス対策等の取組を実情に応じて進めるとともに、ハラスメント防止対策について義務化されていることを踏まえ、パワーハラスメントの防止等に資するアンガーマネジメント研修やコーチング研修を行うなど確実に取り組む。さらに、事業場において過労死等が発生した場合には、経営幹部や現場の長が自ら、必要な全社研修の実施、シンポジウムや各種研修会への参加、職場の上司や同僚との関係等の調査による原因究明を図り、再発防止の徹底に努める。

(2) 産業保健スタッフ等の活用
 事業主は、過労死等の防止のため、労働者が産業保健スタッフ等に相談できるようにする等、その専門的知見の活用を図るよう努める。
 これらのスタッフがいる事業場では、相談や職場環境の改善の助言等、適切な役割を果たすよう事業主が環境整備を図るとともに、これらのスタッフがいない規模の事業場では、産業保健総合支援センターを活用して体制の整備を図るよう努める。
 なお、産業保健スタッフ等は、過労死等に関する知見を深めるとともに、職場環境の確認状況も踏まえて、適切な相談対応等ができるようにすることが望まれる。したがって、産業保健スタッフ等は、産業保健総合 支援センターにおいて研修を受講するほか、シンポジウム等に参加し、過労死事例等を学ぶよう努める。

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