ウクライナ情勢の変化等による原材料・エネルギーコスト増の影響を受ける下請事業者に対する配慮について

2022年2月28日

省庁・団体名

経済産業省 中小企業庁

内容

 現在、ウクライナ情勢の変化による影響もあり、原油価格が昨年にも増して高騰し、その影響が長期化しております。原油価格をはじめとするエネルギーコストや原材料費の上昇によって中小企業・小規模事業者の収益が圧迫されることが、強く懸念されております。
 下請中小企業者と親事業者との取引対価の決定方法については、下請中小企業振興法第3条に基づく「下請中小企業の振興を図るため下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準」(以下「振興基準」という。第4において、「原材料費、市価の動向等の要素を考慮した合理的な算定方法に基づき、下請中小企業の適正な利益を含み、下請事業者及び親事業者が協議して決定するもの」とされております。また、親事業者による一方的な価格設定などの買いたたきや減額などは、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請代金法」という。)においては、禁止行為として規定されているところです。
 貴団体におかれては、現下の状況を踏まえ、上記振興基準や下請代金法の趣旨に照らし、下請事業者から価格交渉の申出があった場合には積極的に応じ、取引対価はエネルギーコストや原材料費の上昇分を考慮した上で、十分に協議し決定するなど、方法と単価の両面において適切な価格決定がなされるよう、会員企業に対して改めて周知していただくよう要請します。

 なお、1月から3月までは「転嫁対策に向けた集中取組期間」とされており、政府において、下請代金法上の「買いたたき」や独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する取締り等に強力に取り組んでおります(参考1参照。これらの法律に違反するおそれのある事例については、公正取引委員会及び中小企業庁が連携し、厳正に対処してまいります(参考4参照)。
 また、昨年9月に引き続き、今年の3月も「価格交渉促進月間」に設定し、翌4月からは大規模なアンケート調査や下請Gメンによるヒアリング等、フォローアップ調査を実施いたします(参考2、3参照)。
 その結果は業種別に集計し、公表するとともに、当該調査結果を踏まえ、価格転嫁への取組状況が悪い事業者に対しては、下請中小企業振興法第4条に基づく指導・助言を実施いたします(参考5、6参照)。

 貴団体におかれては、会員企業が上記を留意の上、下請中小事業者との価格協議に積極的に応じ、また、適切な価格転嫁に取り組むことができるよう、併せて会員企業への周知をお願い致します。
 また、団体から周知を受けられた各企業におかれましては、経営者から営業・調達の担当役員及び管理職にもこの要請文を手交していただきますよう、特段の御配慮をお願い申し上げます。


〔参考1:「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月27日閣議了解)〕
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/partnership_package_set.pdf

〔参考2:「取引適正化に向けた5つの取組」(令和4年2月10日第3回未来を拓くパートナーシップ構築推進会議)〕
https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220210006/20220210006.html

〔参考3:昨年9月の「価格交渉促進月間」フォローアップ調査の結果について〕
https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220210006/20220210006-1.pdf

〔参考4:下請代金法(抜粋)〕
第四条親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託
をした場合にあっては、第一号及び第四号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
(減額)
三 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。(買いたたき)
五 下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。

〔参考5:下請中小企業振興法(抜粋)〕
第三条経済産業大臣は、下請中小企業の振興を図るため下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準(以下「振興基準」という。)を定めなければならない。
第四条主務大臣は、下請中小企業の振興を図るため必要があると認めるときは、下請事業者又は親事業者に対し、振興基準に定める事項について指導及び助言を行なうものとする。

〔参考6:振興基準(抜粋)〕
第4 対価の決定の方法、納品の検査の方法その他取引条件の改善に関する事項
1) 対価の決定の方法の改善
(1)取引対価は、品質、数量、納期の長短、納入頻度の多寡、代金の支払方法、原材料費、労務費、運送費、保管費等諸経費、市価の動向等の要素を考慮した合理的な算定方式に基づき、下請中小企業の適正な利益を含み、労働時間短縮等労働条件の改善が可能となるよう、下請事業者及び親事業者が十分に協議して決定するものとする。

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