ニューヨークだより 2018年2月
「米国等における個人情報保護と利活用に関する近況」
2018年3月1日
省庁・団体名
JETRO/IPA NewYork
内容
EUでは、2018年5月25日にGDPR(The General Data Protection Regulation)が施行されます。
PwC Japanの調査によれば、2017年7月時点で、GDPRへの対応について、(1)準備の具体化を完了、(2)準備の具体化を開始、(3)アセスメントを完了、(4)アセスメントを開始、(5)準備に未着手である企業の割合は、
米国:(1)22%、(2)26%、(3)21%、(4)27%、(5) 4%
英国:(1) 8%、(2)32%、(3)21%、(4)34%、(5) 5%
日本:(1) 2%、(2)17%、(3)22%、(4)48%、(5)12%
となっています。
2018年2月現時点で、GDPRは施行前であり、準拠ガイドラインもすべて発表されていない状況であり、各社は現時点で考えられる実務的な対応を行っているのが実際であると思いますが、GDPRへの対応が不十分なままでは、巨額の制裁金というリスクを抱えたまま、GDPRの施行を迎えることになります。
また、いわゆる「GAFA」について、米国の消費者は、「社会の不可欠な要素になっている」という点について55%が同意した一方で、「個人データの保護を強化したい」と考えている回答者が43%、「社会生活をシンプルにした」と37%の回答者が評価している一方、「社会への影響力が強くなりすぎている」とした回答者も31%であり、「信用できるやり方で入手した消費者とユーザーのデータを適切に扱っている」とした回答者は23%でした。
EUでは、Google、Facebook、Amazonといったインターネット・テクノロジー企業に対する税制の改革検討を進めています。2017年9月に発表された、欧州委員会の徴税のあり方を再考するレポート"A Fair and Efficient Tax System in the European Union for the Digital Single Market" では、従来の企業への課税が23.2%であるのに対して、国際展開するデジタル企業への課税は10.1%にとどまっていると指摘しています。
加えて、データの越境を禁止する法律(”data residency law”)を制定する動きが、EUや中国だけではなく、世界中に広がりつつあります。米国通商代表部の2017年度報告書” 2017 National Trade Estimate Report on FOREIGN TRADE BARRIERS” では、2015年、2016年の中国政府が米国等の広範なICT製品・サービスを国産に置き換えようとする動きに対し、懸念を示しています。
今後は、個人情報に限らず、金融・税金関連情報、通信情報、政府及び公共機関の情報等について、各国は自国内での保存を求める動きを取っています。米国も、金融・税金関連情報、政府及び公共機関の情報については、データの自国内の保存を求めています。いずれにせよ、中国などの事例にも見られるように、個人データの域内管理は世界的なトレンドとなりつつあります。こうした各国の法令へのコンプライアンスを遵守していく上でも、まずGDPRへの対応が重要になってくると考えられます。
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