経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課長 年頭所感
2018年1月1日
平成30年 年頭所感
経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課
課 長 中野 剛志
平成30年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年は、情報政策にとって大きな節目の年となりました。
3月に機械、データ、技術、人、組織など様々なものが繋がることで、新たな付加価値の創出と社会課題の解決を目指す「Connected Industries」を提唱し、10月には「Connected Industries 東京イニシアティブ2017」として、今後重点的に政策資源を投入すべき5つの分野(自動走行・モビリティサービス、ものづくり・ロボティクス、プラント・インフラ保全、スマートライフ、バイオ・素材)の提示など、今後の政策の方向性を発表いたしました。
そして、IT関係の税制措置として15年ぶりとなりますが、IoT投資を促進する税制(Connected Industries税制)を創設することが決まりました。一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により生産性を向上させる取組について、それに必要となるシステムや、センサー・ロボット等の導入に対して、税額控除3%等の税制措置を講じます。
こうしたITとリアルが融合し、これまでの常識を超えた新たな付加価値の創出のため、「IoT推進ラボ」では、第四次産業革命の波に乗って、日本産業を牽引する企業の発掘や、大企業、ベンチャー、海外、あらゆる垣根を超えた連携を推進してまいります。地域におけるIoTプロジェクトの創出についても、「地方版IoT推進ラボ」として現在74地域を選定し、新ビジネス創出を目的とした実証事業や製品化が進んでいます。
また、IT人材の育成、リカレント教育の充実として、データサイエンスやセキュリティなど、特に需要の増加が見込まれる高度なIT分野を中心に、民間事業者や大学等が提供する社会人向けの教育訓練講座として、経済産業大臣が認定する「第4次産業革命スキル習得講座認定制度」も7月に新たに創設しました。
本年はこうした取組をさらに加速していきます。
特に、IoT、ビッグデータ、AIなどの先進技術を活用し、新たなビジネス創出や革新的な生産性向上を実現するための基幹系システムの刷新にも力を入れます。この実現に向けては、その足かせとなっている老朽化・複雑化した「レガシーシステム」とも呼ばれるIT基盤の刷新が進むよう、ユーザー・ベンダー双方の視点で課題を洗い出し、有効な支援策を検討してまいります。
また、トップ人材の育成として、ITを活用して世の中を変えていけるような製品・サービスを創出できる「未踏人材」が、起業や自らが実施主体者となる事業化につなげていくための人材育成プログラムである未踏アドバンストを本格的に実施いたします。また、量子コンピュータをはじめとした新たなハードウェアの研究開発が加速する流れを受け、時代の変化に応じた制度の企画を続けてまいります。
そのほか、政権の大きなチャレンジである「働き方改革」にも取り組みます。労働時間の縮減に留まらない、生産性が高く柔軟な働き方を目指すものとして、7月24日を「テレワーク・デイ」と命名し、900以上の団体、6万人以上の方にテレワークに参加いただきました。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて国民運動を展開するため、引き続きご協力をお願いいたします。
最後になりましたが、コンピュータソフトウェア協会及び会員の皆様にとりまして、この新しい年がより良き年でありますよう心から祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。