「つながる世界の利用時の品質~IoT時代の安全と使いやすさを実現する設計~」を公開
2017年4月13日
省庁・団体名
独立行政法人情報処理推進機構
概要
内容
概要
IPA/SECは2017年3月30日、さまざまなモノ同士がつながるIoT(Internet of Things)時代に向けて、利用者の特性や利用状況を考慮してIoT製品/サービスを開発するポイントを紹介した報告書、「つながる世界の利用時の品質~IoT時代の安全と使いやすさを実現する設計~」を公開しました。
背景・目的
さまざまなシステムや製品がつながるIoTの世界では、これまでになかったサービスが創出されると期待されています。そうした状況においては、IoT製品/サービスを操作した経験の少ない子供や高齢者をはじめ、習慣や文化の異なる利用者の利用の増加が想定され、操作の誤りなどにより、安全を脅かすような重大な事故の発生も予測されます。そこで、安全性と使いやすい操作性に配慮し、利用状況を考慮した製品の開発が不可欠です。
これまでは、製品の安全性や使いやすさの向上を目指したUI(ユーザ・インタフェース)やUX(ユーザ経験) (*1) は、マーケティング担当者やデザイン担当者が中心に検討していました。しかし、IoT製品/サービスでは、その機能の多くがソフトウェアによって実現されており、その安全性や使いやすさはソフトウェアが担っていると言っても過言ではありません。本報告書では、利用者の視点で「利用時の品質」に取り組むことの重要性を示すと共に、26件の具体的な事例から課題を抽出・分類し、ソフトウェア開発者として留意すべき15の視点として、そのポイントと対策として検討すべき項目を紹介しました。これまでIoT製品/サービスの利用時の品質について、このように体系的に整理したものはありませんでした。マーケティング担当者やデザイン担当者などの関係者とソフトウェア開発者が課題認識を共有し、協力して製品開発に取り組むために活用されることを想定しています。
本報告書の内容
本報告書ではマーケティング担当者やデザイン担当者などとソフトウェア開発者が課題認識を共有し、協力して製品開発に取り組めるような留意点を紹介しています。本書は、UI/UXの専門家である特定非営利活動法人「人間中心設計推進機構(HCD-Net)」(*2)と連携し、とりまとめました。
具体的な内容は下記のとおりです。
- 今後のIoT時代でつながっていくことが予想される家電・自動車・モバイル製品などを対象に「利用時の品質」を考慮しなかったために発生した失敗事例、および、利用者目線で考慮できたことによる成功事例を26件収集・整理し、「利用時の品質」を考慮することの重要性を例示しました。
- UXD専門家(*3)を交えて収集した26件の事例を分析し、さらにソフトウェア開発者が実際に感じている課題を抽出し、下記のように4つに分類しました。
1)開発に関わる組織文化の課題:
利用時の品質向上を検討することへの阻害要因はどのようなことがあるか
2)ユーザや利用環境の把握・想定に関する課題:
ユーザの特性や利用環境を把握・想定するにあたりどのような困難なことがあるか
3)利用時の品質の設計に関する課題:
利用時の品質を考慮して設計する時に、どのような観点が抜けやすいか
4)ユーザとのコミュニケーションに関する課題:
利用時の品質向上のため、UXをどのように開発にフィードバックして活用するか - 分類した課題から、対策の方向性を導き出し、利用時の品質向上のために留意すべき15個の視点と、それらの対策として検討すべき項目をまとめました。 それぞれの視点については下記の項目で解説しています。
1)ポイント:各視点において、検討すべき項目
2)つながる世界での注意点:つながる世界での利用時の品質を考える際の注意点
脚注
(*1) UX(ユーザ経験):ユーザエクスペリエンス。製品やサービスの利用によって生じる人の認識と反応であり、利用前、利用中及び利用後に発生するあらゆる感情、信頼、好み、認識、物理的及び精神的な反応などを含む。
(*2) 人間中心設計推進機構(HCD-Net):HCD(Human Centered Design、人間中心設計)に関して啓蒙・普及させることを目的とした団体
(*3) UXD専門家:UXを考慮して、製品/サービスの開発に携わる専門家のこと。企画、設計、検証などプロジェクト全体に関わる。
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公表日
2017年3月30日(木)