「ソフトウェア開発データが語るメッセージ2015」を公開

2015年9月27日

省庁・団体名

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

概要

ソフトウェアが組み込まれた製品・情報システムは拡大の一途を辿り、今日ではソフトウェアは日常生活に無くてはならない重要な社会基盤要素となっています。それに伴いソフトウェアの不具合に起因する障害やサービスの中断が社会に与える影響が拡大しており、ソフトウェアの信頼性をより一層向上させること、また効率的に信頼性を確保することが重要となってきています。

IPA/SECが公的機関としての立場からソフトウェア開発データ白書として提供している統計情報は、定量的管理(特にベンチマーキング)の参考値として利用する事が可能です。ソフトウェアの信頼性を一層向上させるには、統計情報を目安にして自組織の強み/弱みを把握するだけでなく、「良い成績を達成しているプロジェクト群のやり方(ベスト・プラクティス)をヒントにして自組織の改善を図る」ことが必要です。しかしながら、これまでの公開ベンチマーク情報にはベスト・プラクティスに相当する情報が明示的に提供されていないのが現状であり、ベンチマーキングを活用した一層の信頼性向上に向けては公開ベンチマーク情報の強化が重要課題となっています。

そこでこの度IPA/SECは、公開ベンチマーク情報強化の一環として、29社3,541プロジェクトのソフトウェア開発データ白書の定量データを用いて、

  • 信頼性実績の高いプロジェクトでは品質保証プロセスや開発組織にどのような傾向があるか
  • 経済的に信頼性を確保するには品質保証プロセスをどの程度実施すれば良いか


などの観点から新たな要因分析を重ね、品質マネジメントに関するいくつかの知見を抽出しました。今回それらの知見を信頼性向上に寄与させる事を目的に、品質マネジメントの指針「ソフトウェア開発データが語るメッセージ2015」(以下、本書)として取りまとめましたので、これを公開します。

内容

本書の特徴と効果

  1. データで実証されたメッセージや傾向を掲載
    当たり前のようなメッセージであっても、データによって明確に実証されているものは少ない、あるいは公開されていないのが現状です。そこで、それらのメッセージを公的機関としての立場からデータで実証し掲載。また、ソフトウェア開発データ白書のデータを良群・否群に分け、そこから見えた傾向も掲載しています。
    (例:良群は上流で設計レビューをしっかりやっている/お客様の関与が高い方が生産性・信頼性ともよい傾向にある 等)
  2. 経済的に信頼性を確保するための品質マネジメント指針を掲載
    開発者が開発プロセスの定量的コントロールを行うシーンに向けて、品質保証プロセス(文書化、レビューおよびテスト)のコントロールや見積りの妥当性評価に役立つメッセージを掲載。
    品質保証プロセスについては、経済的に信頼性を確保するためにどの程度注力すれば良いかの指針と目安となる数値を提示し、改善目標の立て方や改善方法のヒントも掲載しています。
  3. 組織改善のためのマネジメント指針を掲載
    開発組織のマネジャー層へのメッセージにおいては、プロジェクト・マネジメントの指針だけでなく、変動要因分析結果に基づく重点強化領域の特定、組織体制の整備など、組織改善のためのマネジメント指針も提示し、改善目標の立て方や改善方法のヒントも掲載しています。

今回提示のマネジメント指針および数値はあくまでも「ソフトウェア開発データ白書のデータを基にしたもの」です。本書の品質マネジメントの指針等をヒントに、数値を目安として自社データを用いた分析を実施し、自組織に合った品質ベンチマーキングの仕組みやマネジメント・サイクルを確立することにより、経済的かつ現実的な組織改善につながり、ひいては一層の信頼性向上につながることを期待します。

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