「経営に役立つ会計」何のための会計?(4)~成功する経営者のやり方~
2015年9月1日
CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明
これまで3回にわたってダメな事例ばかり紹介してきたのは、今回の成功の事例を紹介するためである。
もう本メールマガジンを執筆して長くなるが、今回の内容こそ私が最もアピールしたい点で、いわば私が実務をとおして取り組んできた集大成ともいえるものである。
私が見る限りこの方法をきちんとやっている経営者はきまって成功している。ただし残念ながら数は少ない。
- 成功する経営者のやり方は、言葉でいうと極めてシンプルである。
(1)来期の受注先と売上金額の目標を立てる。
(2)さらに費用を予想して、利益目標を立てる。
(3)この計画の数字を頭に入れておき、進捗状況も逐次把握して実績の数字も頭に入れておく。
(4)このまま行くと期末はどうなるか、常に対策を考える。
- D社長は、いつお会いしてもまず今期の見通しを話される。このままいくと売上がいくらで利益がいくらで、計画と比べてどうであり、もう少し頑張って達成したいのでこういう対策を考えていると。そして、常に変化する状況に応じて対策を練り直すので、次にお会いするときは別の対策を考えておられる。
つまり彼は計画の必達に向けて四六時中対策を考えているので、いつも早めに適切な打ち手を講ずることができる。そうやって必ず黒字にする。だから彼は失敗しない。
- ところが、前述したようにこのやり方を実行している経営者は少ない。
よく「時間が無い」とか「数字は苦手だ」などと言い訳されるが、要はヤル気が無いだけと言わざるを得ない。
なぜなら、特別に難しい要求している訳ではなく、ノルマを背負わされた営業マンならみんなやっていることだからである。駆出しの営業マンですらやっていることを経営者ができないはずがない。
営業マンはノルマというプレッシャーがあるから言われなくても実行するが、経営者には必ずしもそのプレッシャーがないから実行しない。
経営者の方には、もっと自分にプレッシャーを掛けてぜひとも実行していただきたいものと切に願うしだいである。
(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。