「専務のツブヤキ」
~令和7年度概算要求・税制改正要望など~

2024年9月15日

SAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 今回は例年8月末に出される経済産業省の概算要求についてまずツブヤキたいと思います。予算は一般会計と特会を合わせて2 兆 3,596 億円、令和6年度当初予算が1 兆 9,072 億円ですので、GX関係を中心にかなり増要求となっています。また、金額を定めない事項要求として「 AI・半導体分野における量産投資や研究開発支援等の重点的投資支援 」他4項目も要求されています。特にAI・半導体分野のそれは、おそらく毎年ある補正予算をにらんだ布石かなと私的には推測する次第です。

 ちょっと、商務情報政策局関係の注目される予算を見てみますと、例えば

・「 省エネAI半導体及びシステムに関する技術開発事業【40億円】 」、これは令和5年から令和9年までの5年間の事業であり、短期的には、 性能/消費電力で革新的AI半導体・システムの開発で5倍の向上 を目指すとのこと、

・「 データセンター(DC)地方拠点整備事業【0.7億円(新規)】 」、これは複数のDCが集積する中核DC拠点の設置にあたって必要な 電力供給や通信回線の引込等を行うためのインフラ(共同溝等)の整備費用 や、当該用地における土地造成のための費用等の一部を支援(1/2補助)するとのこと

など私的には注目しています。

 また、税制改正では、予算の事項要求とリンクしていると思われるものの具体的な優遇措置の内容は現時点では不明ですが、 産業競争力の強化及び経済安全保障の観点から、AI・半導体分野における国内投資の継続的な拡大に向けて、必要な環境整備を検討 するとのこと、今後どうなるのか注視していきたいと思っています。

 いずれにしろ、経済産業省の令和7年度の予算、税制の要求を見ていると GXと絡めて電力を大量に消費する半導体、AI、データセンターをキーワードとする予算を重視 しているようです。電力広域的運営推進機関では、 データセンターや半導体工場の新増設により、2024年度で+48万kW、2033年度で+537万kW(原発5基分?) の最大電力需要の増加を見込んでおり、これを賄うには短期の対策としては 原発の再稼働 、中長期的には(又はメインとしては) 再エネ(太陽光、風力など)+蓄電池 ということかと思います。そのため、既に経済産業省は 経済安全保障の観点から法律で蓄電池を特定重要物資に指定 し、大規模な生産拡大投資を計画する、又は、現に国内で生産が限定的な部素材や固有の技術を有する 蓄電池及びその関連事業者に対し、設備投資・生産技術開発の支援 を講ずる(令和5年度補正予算で2,658億円、令和6年度当初予算で2,300億円を計上)ことによって、製造能力の強化、サプライチェーンの維持・拡大を図ることとしています。当協会としても、政策提言に 安定電源の確保は言うまでもありません が、 原発の再稼働も含めるべきか (慎重に?)検討すべきかもしれないと思う次第です。

 久しぶりに弓道の報告をさせて頂きます。実はかなり順調でして、今年2月に結構大きな射会である 建国記念奉祝弓道大会(@明治神宮)において第一部(参段以下)で優勝 し、月刊弓道(専門誌)の令和6年3月号にも表彰式の写真が掲載されましたよ(^_^;) その後、4月には 参段に昇段 できましたので、11月には四段に挑戦するつもりです。また、昨年2月に初段になって以降、時々 新宿区を代表して東京都の大会などに選手として出場 (10月も出場予定)するようになりました。私、SAJの後は毎日が弓道日(ちなみに 9月10日は「弓道の日」 です)かも、、、です(^_^;)

 最後に、専務になって9年目ですが、今回でついにこのコラム 第100号! となりました。私的には意外ともう100本も書いたんだという感じですが、あまり読まれている方がいないという前提で時々機微なことにも触れてきました。実は経産省からも一度、後で部分的に削除要請が来たことがありました(^_^;)が、引き続き皆様にご愛顧いただければ幸いですm(__)m

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、機械情報産業局鋳鍛造品課、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(現:一般社団法人ソフトウェア協会)専務理事に就任。

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