「専務のツブヤキ」
~デジタル社会の実現に向けた重点計画(6/21)、生成AI時代のDX推進に向けた 人材・スキルの考え方2024(6/28)~

2024年7月15日

SAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

6月21日に閣議決定された「 デジタル社会の実現に向けた重点計画 」(https://www.digital.go.jp/policies/priority-policy-program)においては、

抜粋ですがデジタル人材育成に関して「 個人が持つデジタルスキル、スキルアップ状況、試験によるスキル評価のデータを蓄積・可視化し、保有スキルの証明をデジタル資格証明で発行 していくことで、 個人における継続的な学びと、目的をもったキャリア形成の実現 を目指す。」とされています。これは、デジタル人材の量的又は質的不足が叫ばれる中で、具体的どの人が今後どのようなスキルを学べるか又は学ぶべきかを個人レベルで可視化(データベース化、資格証明など)できるようにして、デジタル人材の個々人が継続的にデジタルスキルを学び続け易いようにするとのことでした。

また、これとほぼ同時に公表された「 生成AI時代のDX推進に向けた人材・スキルの考え方2024 」(6/28)においては、⽣成AI時代のDX推進に必要な⼈材として、

① 生成AIの業務での活用により知識や技術が補填されるため、 DX推進人材はより創造性の高い役割としてリーダーシップや批判的思考などパーソナルスキルやビジネス・デザインスキルが重要 となること

② DX推進人材には「問いを立てる力」や「仮説を立て・検証する力」、に加えて 「評価する・選択する力」 が求められること

が指摘され、そのためのスキルとしては、デジタルスキル標準(DSS)の5つのカテゴリー毎に以下の通りとされました。

ビジネスアーキテクト:選択肢から適切なものを判断する選択・評価する力

デザイナー:独自視点の問題解決能力、顧客体験を追求する姿勢

データサイエンティスト:利活用スキル(使う、作る、企画)、背景理解・対応スキル(技術的理解、技術・倫理・推進の各課題対応)

ソフトウェアエンジニア:AIスキル(AIツールを使いこなす)、上流スキル(設計・技術面でビジネス側を牽引)、対人スキル

サイバーセキュリティ:AI活用の利益とリスク評価、社内管理スキル、コミュニケーションスキル

 思うに、生成AI時代に向けて特に、 ビジネスアークテクト及びデザイナーの役割はますます重要 になると思われますが、一方 ソフトウェアエンジニアはかなり負の影響 を受けるのではないでしょうか。今後、 ローコード・ノーコード化が進展 し、サイボウズのCMにあるように文系の方でも簡単に業務用アプリが作成できる時代がくる中、 プログラムを果たして今後も人間が作成する必要がある のか? という気がしているのは私だけでしょうか。ソフトウェアエンジニアの主要な仕事である、特に 要件定義工程、設計工程、コーディング、テスト工程など大部分がAIに置き換わるのでないか と私的には推測します。生成AI時代に向けて今後とも上記5つのカテゴリーを基本的枠組みとするのかちょっと疑問に感じている次第です。むしろ、(ソフトウェア協会が言及すべきではないかもしれませんが(^_^;))ソフトウェアエンジニアよりも デジタル基盤(データセンターなど)の構築に関わるインフラエンジニア(?)の方が重要な役割を担う のではないかという気がします。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、機械情報産業局鋳鍛造品課、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(現:一般社団法人ソフトウェア協会)専務理事に就任。

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