「専務のツブヤキ」
~経済安全保障推進法、デジタル社会形成基本法、消費生活用製品安全法~
2024年3月15日
SAJ 専務理事 笹岡 賢二郎
まず、最初に会長会社である さくらインターネット株式会社が2024年2月20日(火)に経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」について経産省から認定を受けた ことに触れたいと思います。
これにより、経産省は同社に対して、①よりスケーラブルなコンピューティング機能、②強固なセキュリティ機能、③アプリケーションの開発効率を高めるコンテナ/サーバレス機能等を持つパブリッククラウドを開発する同社(国内唯一の国産ガバメントクラウド業者)の計画を資金的に支援します(最大で約6億円:補助率1/3)。ただ、同社以外の国内企業も、、、と言いたいところですが、なかなか出てこないですね(-_-;)
次に、デジタル社会形成基本法の改正案が3月5日に閣議決定されました。中身的には、まず公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)の整備・改善(公布の日から起算して1年3月以内【政令で定める】)ということで、 ベースレジストリーにだけ法人が変更の登記を行えば、法人に係る他の法令の規定により変更の届出を行わなければならない事項(名称、所在地等)について自動的に変更 されたものとみなされ、要はイチイチ法令ごとに同じ 届出は不要 になります。まさに行政手続きのワンストップの実現であり、私的にはこれは結構便利になるなという気がします(^_^;)
また、このようにデータ連携を推進していくためには、多様な主体が保有するデータについて、一定のデータ標準に準拠することでデータの相互運用性を確保することが必要ですが、このため IPAが公共分野・準公共分野(教育、防災等)の情報システム整備に関し、データ標準化に係る基準の作成 等を行えるよう体制強化も行うとのことです。これでまたIPAは人員を増やさないといけませんね。また、これを契機に国の印刷局も凸版や大日本印刷のように紙から脱却し、データベース屋さん、IT中心の組織に衣替えするようです。
マイナンバーカードについても、マイナンバー情報総点検を踏まえ、マイナンバーと個人情報の紐付け誤りの再発防止のため、デジタル庁が保有する情報通信技術の知見を活用しながら、特定個人情報の正確性の確保のための必要な支援を行うとのことです。デジタル庁は保有する情報通信技術の知見を活用しながら、 個人情報の点検支援ツールの開発・提供 することや将来的に データ入力を人を介さずにスマホによりマイナンバーカードを読取りマイナンバーを登録 することなど特定個人情報の正確性の確保のための支援を行うとのことです。今後は自分のマイナンバーで他人のデータが出てくることがなくなればと願っています(^_^;)
また、マイナンバーカードの利便性向上ということで、既に措置済のマイナンバーカードの電子証明書機能に加え、 マイナンバーカードが保有している基本4情報等(氏名、生年月日、住所、性別、マイナンバー、顔写真)をスマートフォンに搭載し、本人の了解のもとで、相手方に提供 できるようにするとのこと(公布の日から1年以内)、要はスマホだけ持てばカードは持ち歩く必要がなくなるとのことです。まあ、最近はお年寄りでも当たり前にスマホを持っていますので、今後は スマホが国民の身分証明書替わりなる ということでしょうね(^_^;)
最後にインターネット取引の拡大に対応して消費生活用製品安全法の改正案が3月1日に閣議決定されました。これにより取引DPF(デジタルプラットフォーム)において提供される消費生活用製品について、国内消費者に危険が及ぶおそれがあると認められ、かつ、その製品の出品者によってリコール等の必要な措置が講じられることが期待できないときは、 取引DPF提供者に対し、当該製品の出品削除を要請できるなどの措置が創設 されるようです。
さらに、海外事業者にも規制対象を広げ、海外事業者が取引DPFを利用するなどして国内の輸入事業者を介さず国内消費者に直接製品を販売する場合、当該海外事業者を消安法等において届出を行える対象として明確化するとともに、規制の執行を担保すべく、当該 海外事業者に対し、国内における責任者(国内管理人)の選任を求める とのことです。国は国内管理人を通じて国内消費者に直接製品を販売する海外事業者(製造業者及び販売業者)をしっかり見張るということのようです。
デジタル分野では、支援や規制強化が入り乱れて色々ありますが、引き続き、協会としてもその動向をフォローしてツブヤキたいと思います(^_^;)
筆者略歴
笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)
1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、機械情報産業局鋳鍛造品課、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(現:一般社団法人ソフトウェア協会)専務理事に就任。