「専務のツブヤキ」
~新年から幸先が良いです(^^;) スタートアップ政策に注目!~
2023年1月15日
SAJ 専務理事 笹岡 賢二郎
新年あけましておめでとうございますm(__)m
昨年から弓道を始めましたが、早々に「新年射会」の余興で「金的(きんてき:金色の的)」を中(あ)てることができました。通常は28メートル先に直径12寸(36センチ)の的を置いて矢を射るのですが、正月ですので、三寸(9センチ程度)の金的を置いてそれを狙う余興です。 わずか三寸の的に矢を中てるというのは狙ってなかなかできるものではなく、運に負うところが大 ですので、個人的には 新年早々幸先が良い スタートができた気がしています(^^;)
さて、今年の懸念の一つは政治情勢ですが、一番の問題は岸田政権の支持率の低下です。報道によれば、はじめは統一教会の問題、それに伴う閣僚のドミノ辞任、最後は防衛費の拙速と思われた増額決定と増税のようですが、今年は岸田政権の行く末を占う上で正念場になりそうな気がします。個人的には、 岸田政権の政策はスタートアップ支援を含めIT業界にとっては追い風のものが多く頑張っていただきたい と思っていますが、、、
支持率回復にどの程度役立つかはわかりませんが、私的には岸田政権が昨年「新しい資本主義実現会議」で出された「 スタートアップ育成5か年計画 」に注目しています。例えば、IT 分野ではこれまで「未踏事業」(IPA)において、産業界・学界のトップランナー(含む田中会長)が、メンターとして才能ある人材を発掘(採択審査)してプロジェクト指導を実施(年間70 人規模)し、これまで300 人が起業または事業化を達成しています。同計画では、これを大規模にさらに拡大して他の法人(新エネルギー・産業技術総合開発機構や産業技術総合研究所等)への横展開や対象を高専生・高校生・大学生を中心とした若手人材育成の取組にも広げることで、全体で メンターの育成規模を「年間70 人」から5年後(2027年度)には「年間で500 人」へと拡大 することを目標としています。ただ、 その指導者を如何に確保するか、その点の具体策として予算増額くらいしか示されていませんが、お金だけで解決できるのでしょうか? という気はしています。当協会もその点で何か貢献できればと思わずにはいられません。
また、私としては スタートアップの最も有効な支援はSBIR(Small Business Innovation Research)制度などスタートアップ企業からの公共調達の促進 と考えています。同計画の中では、例えば、国や独立行政法人などの国の関係機関が調達する物件、工事、サービスについて、創業10 年未満の中小企業からの契約比率が1%程度(777 億円(2020年度実績))にとどまっているところ、 その契約比率を3%以上(3,000 億円規模)に早急に拡大 する目標が掲げられています。スタートアップ担当大臣は、施策の実施状況をフォローアップし、未達成の場合に担当省庁に対して是正を働きかけるそうです(^^♪
そして、スタートアップの政府調達を拡大するため、具体的に 随意契約に関するルール、国の大規模研究における加点措置等の検討を含めて、入札参加資格制度の検討 を図ることも記載されています。これは、国に限らず、地方公共団体でも是非行っていただきたいと思います。特に、今後進められる地方のデジタル実装を進めるための デジタル田園都市国家構想交付金の採択審査時にスタートアップからの調達に加点 を行うなどの措置を是非期待したいところです(^^)/
と言いますのも、当協会は昨年出した政策提言の一つに「公共調達におけるスタートアップ支援」を掲げており、そのため① 会計法令、国際調達ルール(WTO)との整理 及び② 調達資格の整理(国と自治体でバラバラになっている調達資格の共通化) をすべきと提言しているからです。
さらに、同計画ではスタートアップを含め、IT 企業が提供するサービスの仕様などをカタログ化し、要件にあったものを行政が調達しやすくする デジタルマーケットプレイス(DMP)について、2023 年度中に実証を行い、早期の導入を目指す としていて、これも有効なスタートアップ支援になると思っています。
このように同5か年計画ではスタートアップ支援において私的にも関心のある施策が色々見られますので今年は是非注視していきたいと思っています。
最後にコロナ禍ではありますが、今年こそは 当協会として3年ぶりに今月18日に賀詞交歓会を開催する予定 です。できるだけ多数の会員の皆様の参加を期待しておりますとともに、今年も会員の皆様にとって良い年となりますよう心より祈念しております。
筆者略歴
笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)
1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、機械情報産業局鋳鍛造品課、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(現:一般社団法人ソフトウェア協会)専務理事に就任。