「専務のツブヤキ」
~デジタルインフラ戦略、7つの習慣で共感したこと~

2021年5月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 緊急事態宣言が地域を追加した上で、5月末まで延長となり、変異ウィルスが全国で猛威を振るっています。そのため、 5月14日の北海道での理事会開催を断念し、全面オンラインとせざるを得なかったのは大変残念 でした。今後、オリンピックの開催も懸念されますが、ワクチン接種が進み、一刻も早いコロナの終息を願うばかりです。

 さて、先月、政府においては、Society5.0を目指す上で、デジタル化の促進が急務であるが、急増する情報処理量・通信量に対応するため、デジタルインフラの強化が必須とのことで、主に データーセンターの今後の立地戦略について議論 されたそうです。課題としては、

① トラスト(信頼性)面では、データ管理における災害等による地政学リスク、海外だけに頼ることなく国内のデジタルインフラを選択できる環境整備の必要性

② レジリエンス(柔軟性)面からは、多くのデータセンターやIX(インターネット・エクスチェンジ)が、東京・大阪に二極集中(接続ISP数で約98%)していること、

③ グリーン(持続可能性)面では、グリーンbyデジタルによる情報処理量の増加や情報処理量・通信量の大幅増加に伴い、電力消費量も大幅に増加することが懸念されること

が挙げられています。それに対して今後の対応策として、まずは、 データーセンターの強化・最適配置 かと思います。今後データセンターは着実に国内立地が進むものと考えられますが、国として総合的な立地戦略は有りません。今後、先ほど挙げた トラスト、レジリエンス、グリーンの面からデーターセンターの国内誘致、最適配置を明確な立地戦略を国として後押しする必要 があるのではないでしょうか?それで思い出すのですが、リスクを回避するための相場の格言で「 卵を一つのカゴに盛るな 」というのがあります。地震などの災害が多い日本でデーターセンターの立地とデータのバックアップをセットで考えるための示唆と言えましょう。データを入れるカゴをいくら分散して用意しても、卵(データ)の入れ方を間違える(重要なデータをバックアップなしに一か所に保管)とリスクは回避できません。 カゴの議論をするのであれば、卵の入れ方もセットで議論 してほしいと思う次第です。

 また、全ての産業がデータ活用を図る時代において、 相互接続可能で(オープン)信頼できる(トラステッド)持続可能な(グリーン)データセンターを開発・普及 させることが必要であり、このため、 「オープン・トラステッド・グリーン・データセンター」の基準の設定 グリーン化や5Gなどの技術開発 も進める必要があるでしょう。いずれにしろ、データーセンターに関して今後とも当分国でも熱い議論が続きそうです。

 話は変わりますが、愚息の机でテレワークしていた時、会社から読めと言われて渡されたのだと思いますが、偶然「七つの習慣」という本が目に留まりました。つい、パラパラ見ていると七つの習慣とは、 ①主体性のある行動、②落とし所を考える、③優先順位、④Win-Winにする、⑤相手との共感、⑥シナジーを生むこと、⑦日頃からの修練(自分磨き) の事なのですが、一番共感したのは③の優先順位の所でした。タスクを、2軸(重要度と緊急度)でⅠ.重要かつ緊急なもの、Ⅱ.重要だが、緊急でないもの、Ⅲ.重要でないが、緊急なもの、Ⅳ.重要でも緊急でもないものと4つに分けて、それぞれのタスクの優先順位をどうするべきか、という行でした。

 私はよく周りからせっかちと思われるのはこのせいかな?と思ったのですが、日頃から「 Ⅱ.重要だが、緊急でないもの」に最も優先順位を置き、かつ、己の時間もこれに最も時間をかけています (おそらく、行事参加やミーティングを除いた 一人で作業する時間のうち7~8割か? )。また、「Ⅰ.重要かつ緊急なもの」は基本的には会長、副会長など役員の皆さんから急に降ってくる仕事しかないので、取り掛かる優先順位は1番ですが、おそらく時間的には数%程度のような気がします。これは、Ⅱ.のタスクにしっかり時間をかけて意識してⅠ.のタスクになってしまうことを極力防いでいるためかもしれません。「Ⅲ.重要でないが、緊急なもの」は、私の場合、可能な限り部下に振るようにしていますが、残りの2~3割はこのタスクでしょう。実は、 「七つの習慣」の著者も、Ⅱ.重要だが、緊急でないものに一番時間をかけるべきとの考えで理由も私とほぼ同じ でしたので、非常に共感した次第です。

 最後に、Ⅳ(まさに雑用)は幸運にも私の場合は全て事務局の方が処理してくれてるような気がします。これには感謝しかありません 

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

PAGE TOP