「専務のツブヤキ」
~コロナ禍のニューノーマルで変わらざるを得ないCSAJ ~

2020年8月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 新型コロナウィルスの第2波でしょうか、連日感染者数が過去最高との字幕がテレビを賑わしています。ただ、重症患者が少ないせいか、政府は医療崩壊の生じる恐れは低いとして、再度緊急事態宣言は出さないようです。ただ、理由はそれだけではなく、おそらく今度出せば休業補償の問題、つまり財政的な問題が表面化するのでそれを避けたいとの思いが見え隠れしている気がします。東京都でさえ、あれだけ潤沢だった財政調整基金をほとんど取り崩して余裕がないせいでしょうか、再度の休業要請には消極的に思えます。 感染予防策と経済活動の折り合いをどう付けるか、ニューノーマル(withコロナ)に向けた模索が始まっている と思います。

 さて、CSAJですが、今後とも 委員会・研究会及びセミナーなどはオンラインは必須 とし、 要があればリアルな会合とハイブリッドも実施 することが基本、ニューノーマルとなりました。これで分かったのですが、これまでのリアルだけの時よりも オンラインになると明らかに参加者が増えている ようです。また、当たり前ですが、場所の制約もありませんので 地方の会員の参加も容易 となりますのでCSAJの地域展開には追い風です。さらに進めて、理事会も今後半分は地方で開催することが先日承認されました。今年度9月は京都、11月は北海道、1月は沖縄と計画しています。北海道はAIで進んだ取り組みが行われていますし、沖縄はIT産業を熱心に振興している所です。理事会の地方開催により、CSAJの地方での会員拡大にとって色々なシナジー効果を期待する次第です。

 実は、CSAJは2017年2月に「働き方改革宣言」(※1)を行い、その中では 2020年までに会員企業のテレワーカー(※2)率で30%という目標 を掲げました。当時は、本当に出来るのだろうか?と半信半疑でしたが、今や会員企業でもテレワークは当たり前でしょうから今年の会員への売上高調査の結果が楽しみです。

※1:https://www.csaj.jp/NEWS/pr/170206_hatarakikata.html

※2:政府の定義は週1日以上テレワークを実施している者がテレワーカー

 会員企業もニューノーマル下で個々にビジネスモデルの転換や見直しを進めているようです。特に、 テレワークを前面に出した製品ラインナップへの変更 営業も全てオンライン化(非対面) している会員が目立ちます。現にオンラインの面談ツールのニーズは飛躍的に増えていますし、そのツールの導入に対するIT導入補助金など 政府の支援もかなり非対面ビジネスの普及を促進 しています。また、 ニューノーマル下のビジネスの主役はますますDX(デジタルトランスフォーメーション) になりつつあります。それを裏付けるように米国のGAFAMといわれる企業の株価はコロナ禍でむしろ最高値の更新を続けています。データを制する者がビジネスを制する時代がまさに到来した感があります。それ故、 CSAJが厚生労働省の支援で教育訓練したDX人材81名は会員企業内で一層活躍 してくれることでしょう。また、人を介さない非対面ビジネスの進展はAI(人工知能)の利用も促進することでしょうが、CSAJでは、これも厚生労働省の支援で 今秋に東京・大阪同時に30名程度の次世代AI人材の育成プログラムを実施する予定 であり、ニューノーマルへの対応として期待されるところです。

 そうなると、人(経営者、従業員)もビジネス意識の変革を求められますが、特に コミュニケーションのスキルも非対面を前提としたものに磨きなおす必要 がありそうです。また、 人事評価などマネジメントの視点も非対面のビジネス能力の評価にシフト して今後見直すことが急務でしょう。ただ、対面にも対面でしか得られないメリットはありますので、 非対面と対面のビジネスのバランスをどうするか、自分なりの解を見出すことがニューノーマル下でのビジネスを制するカギ になるような気がする次第です。また、コロナに加え、猛暑、大雨・水害、地震等の災害などがさらに日本経済を下押ししないかも心配です。そうすると会員各社も BCP(事業継続計画)の見直しも今後必要 なるでしょう。CSAJとしても ニューノーマルに対応した今後の事業戦略(DX、AI、非対面、5G対応等)、将来ビジョンの再構築(事務局機能の再編、オンラインツールの整備等) が求められるでしょう。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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