「専務のツブヤキ」
~新型コロナウイルスを乗り越えた世界は~

2020年4月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

  4月7日に108兆円に及ぶ緊急経済対策 とセットでついに 緊急事態宣言 が発せられましたが、感染者の数は増加の一途をたどっており、会員の皆様にはすでにご連絡していますが、 当協会も事務所の閉鎖を5月6日まで継続 することとしました。先週は、欧州でも米国でも、トップから感染者、死者の増加がピークに達しつつあるような発言が見られましたが、日本では緊急事態宣言は出たものの営業休止を要請する業種の調整で国と自治体に不協和音が出て、折角出した宣言自体の実効性に疑問符がついているのが残念です。おそらく、営業休止を要請すれば補償がセットになるので、私的にはおそらく財政の問題が絡んでいると推測しています。

 ところで話は変わりますが、良い機会ですので、 経済産業省のホームページから会員の皆様に関係ありそうな新型コロナウィルス対策を抜粋 し、以下にURLとともに並べます。緊急経済対策(4月7日)の前から政府は結構色々やってくれています。関係ありそうな支援策が見つかったら是非相談窓口にお問い合わせいただければ幸いです。

・支援策パンフレット https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf 

 これで支援策の全体像が大体つかめます。一度DLしてみることをお勧めします。

・資金繰り支援(貸付・保証)https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm 商工中金など政府系金融機関を中心に無利子・無担保をうたっていますので、活用できるならお得だと思います。

・これは第1弾は終了しましたが、新型コロナウイルス対策補助事業のうち生産性革命推進事業 (IT導入補助金) (3月末でコロナ対策の公募は締切、 4月中旬に交付決定の予定 )来月以降に 第2弾として特別枠700億円が補助率を1/2から2/3に上げて公募 されますので、この際 テレワークでセットでIT導入を考えている中小企業ユーザーの方は是非ご活用(補助金の交付の決定は6月頃か?)頂ければと思います。 https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/seisanseikakumei_pr.pdf

・下請中小企業への配慮を求める親事業者への要請について  https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200310003/20200310003.html

・個人事業主・フリーランス支援 https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200310007/20200310007.html

・新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた就職・採用活動及び内定者への特段の配慮に関する要請について https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200313006/20200313006.html

・情報通信関連企業によるテレワーク導入に対する支援情報について 

https://japan-telework.or.jp/anticorona_telework_support/

・株主総会(オンラインでの開催等)、企業決算・監査等の対応 

https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai.html

 4月7日に出された 緊急事態宣言の骨子 はおおよそ1都3県、大阪、兵庫、福岡の7都府県で5月6日までの1か月間、 人と人の接触機会を7~8割削減をどう実現するか ですが、 どうしてもテレワークで済ませられない業務で感染をなくす手段は何か を真剣に考える必要がありそうです。専門家の先生方も変に気を使って感染者の8割が無症状か軽症などと強調して(若者を)安心させるよりも、私的には 2割に入ってしまうと 新型コロナウイルスはこんなに怖いと強調する方が削減効果がある と思うのですが、、、現にイタリアのように医療崩壊が起これば本当にそうなりかねません。

 次に緊急経済対策(事業規模の総額は108兆円程度、財政支出が39兆円程度)のうち、特に会員企業様と関係が深そうな主な経済対策は以下の通りと思われます。

IT導入補助金(コロナ対策 特別枠700億円 補助率を1/2→2/3 へ、また中⼩企業等が感染症の影響を乗り越えるための ハードウェア(PC、タブレット端末等)のレンタル等も含めたITツール導⼊を⽀援 。結果的に(特別枠に限った話ですが) 昨年政策提言でCSAJから要求した補助率アップとハードも対象とすることが実現 してしまいました。但し、コロナ対策ですので補助対象経費の1/6以上が、以下のいずれかの要件に合致していることが必要です。

A︓ サプライチェーンの毀損への対応 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を⾏うこと (例︓部品調達困難による部品内製化、出荷先営業停⽌に伴う新規顧客開拓)

B︓ ⾮対⾯型ビジネスモデルへの転換 ⾮対⾯・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設 備・システム投資を⾏うこと (例︓店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンラインによるサービス提供)

C: テレワーク環境の整備 従業員がテレワークを実践できるような環境を整備する (例︓WEB会議システム、PC等を含むシンクライアントシステムの導⼊)との要件に合致

中小・小規模事業者への給付(2.3兆円 ): 事業収入が前の年の同じ月に比べて50%以上減少した事業者 に、 中堅・中小企業には200万円 、フリーランスを含む個人事業主には、100万円をそれぞれ上限に減少分を給付

雇用調整助成金の拡充(8330億円) 雇用調整助成金を6月末まで拡充 するとしていて、解雇を行わない場合は、 中小企業は10分の9、大企業は4分の3まで助成率を引き上げ 非正規の労働者も対象 とするなど

納税猶予(26兆円) 2月以降の1か月の売り上げが2割以上減少した企業を対象に、 ほぼ全ての税金と社会保険料の支払いを1年間猶予

 最後に世界的にこの コロナを契機に景気後退に入るのではないか と囁かれています。その可能性は正直あると思いますが、それを 官民が連携してどう回避するか 、(今はBCP(事業継続計画)モードでひたすら耐えるしかないのですが、)そこからが 業界団体の本当の出番 ではないかと思っています。もともと 今年は消費増税の経済対策、DXや5G絡みの投資が相当行われ、成長路線に乗るというのがメインシナリオ でしたので是非、新型コロナウイルスを乗り越え、 アフターコロナではメインシナリオのような世界を目指していきたい と考える次第です。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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