「専務のツブヤキ」
~ 骨太方針2019(就職氷河期対策など)~

2019年7月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 先月の21日に政府から「経済財政運営と改革の基本方針2019」、いわゆる 骨太の方針 が閣議決定され公表されました。この骨太方針をちょっと覗いてみますと、直面する課題と称して「 デジタル化と第4次産業革命の進展 」、「生産性と成長力の伸び悩み」など7つほどがあげられていました。そして、それらの課題への処方箋として「 第4次産業革命による高度な経済、便利で豊かな生活が送れる社会の実現 」、そのためには「「Society 5.0」実現の加速」が必要であるとのこと、詰まるところ、「 人づくり革命、働き方改革、所得向上策の推進 」(※)ということでした。具体的には、CSAJとしては、「リカレント教育」及び「 就職氷河期世代支援プログラム 」(来年度)が重要です。

※:人づくり革命、働き方改革、所得向上策の推進
◆人づくり革命:幼児・高等教育無償化、大学改革、リカレント教育
◆働き方改革:長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、同一労働同一賃金
◆所得向上策:就職氷河期世代支援プログラム、最低賃金引上げ

「リカレント教育」では、CSAJはまさに第4次産業革命を担う人材を育成する「 高度IT技術を活用したビジネス創造プログラム (120時間)」(平成29年度~令和元年度)及び「 次世代AI人材育成訓練プログラム (124時間)」(令和元年度~2年度)を実施しております。前者は現在最終年度ですが、大変好評で募集定員を大幅に上回る申込を受けています。後者は、前者のAI分野の内容をさらに深堀したものですが、来年度20名以上の規模で研修を実施するため、現在委員会でプログラム内容を検討しているところです。いずれも、IT業界のみならずユーザー企業でも、これら データサイエンティスト、デジタル人材、AI人材のニーズは非常に高 と考えられますが、CSAJとしてこのような高度なIT人材の育成に中心的役割を果たしていることは誇れることだと思っています。ちなみに私の愚息も大学の専攻はバイオ(生物工学)でしたが、元々数学と物理が得意だったお陰で、バイオ関係企業ではなくIT企業から内定を頂けました(*^_^*)

「就職氷河期世代支援プログラム」ですが、就職氷河期を経た30~40代を中心に 30万人の正規雇用者 を増やすという目標を掲げています。先月、骨太方針が公表される前後にCSAJにヒアリングに来られ、 3か月以内の比較的短期間の研修で育成可能 という前提で、IT業界でどのような正規雇用者のニーズがあるか聞かれましたので、 ソフトウェアのテスト人材や情報システムを運用保守するオペレーター人材 なら可能かもしれないとお答えしました。おそらく、来年度厚生労働省は「就職氷河期世代支援プログラム」の予算を要求し、年末の政府原案に盛り込まれることは確実と思われます。おそらく、各業界の団体向けに厚生労働省から公募が年明け早々に行われると推察されますが、幸いCSAJには民間の教育事業者も会員に多数おられますので、これら事業者及び関係団体と連携して、今からでも公募に向けて万全の準備を行っていくつもりです。捕らぬ狸の皮算用にならねば良いのですが、、、頑張ります(^-^;

 この他、人材育成以外に重要と思われるものとしては、デジタル市場のルール整備、これには 内閣官房にデジタル市場の競争状況の評価等を行う専門組織の設置 2020年通常国会に「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)」法案提出 が含まれています。また、フィンテック/金融分野でも、 2020年通常国会に決済分野について銀行以外でも幅広い送金を可能とするための法案提出 が予定されており、これもCSAJとしては目が離せない動きです。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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