「専務のツブヤキ」
~霞が関人事・組織改編と内閣改造~

2017年8月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 7月5日に経済産業省では幹部の大異動が発令されました。今回は商務情報政策局の組織も変わりました。伝統ある「情報処理振興課」がなくなり、 情報技術利用促進課(通称:ITイノベーション課)と情報産業課に再編 されました。従来、CSAJやJISAなどのソフト産業は情報処理振興課、JEITAなどのハード産業は情報通信機器課の所管でしたが、原則的にハード、ソフト産業共に情報産業課に所管が一本化されました。しかしながら、 当協会はITイノベーション課の所管 となり、JISAは情報産業課の所管と分かれました。CEATECを除けば、U-22プログラミイングコンテストを始めに、CSAJファンドのベンチャー支援、税制改正要望や人材育成などの政策提言など当協会の主要業務の大部分はITイノベーション課の所管ですので、JISAと所管課が分かれましたが、基本的には歓迎しております。また、Pマーク審査事業の親玉であるJIPDECもITイノベーション課の所管になったそうですので、当協会が直接JIPDECに言いにくいことも今後は間接的に言えるようになるのもメリットかと内心思っています。あとは、情報産業課とITイノベーション課の力関係ですが、前者の方が課長の年次が4年上ですので、総会や賀詞交歓会などのイベントで経産省の政務三役の取り合いになれば不利かもしれません。ただ、いずれにしろ、情報産業課のJEITAを始め数ある所管団体の一つに甘んじることに比べれば、 今回の組織改編は当協会から見れば評価して良い内容 だと思っております。
 人事ですが、同期の 安藤・前商務情報政策局長が中小企業庁長官に昇進 されました。安藤局長は嶋田次官よりも1年下ですので、過去に望月さんが中小企業庁長官から次官になった例もありますので、望みをつないだのかなと思いました。個人的にも、もし同期から次官が出れば嬉しいです。また、中小企業庁はサービス等IT導入補助金の担当部局です。今秋確実視されている補正予算では第2弾が期待されていますし、中小企業のIT化で次期通常国会で新法を出すとも聞いていますので、前商務情報政策局長が中小企業庁長官というのは如何にもはまり役と思うのは私だけでしょうか、安藤長官にはぜひご活躍を期待したいです。また、 渡邊(前情報政策)課長がそのまま商務情報政策局総務課長 になりましたので、引き続き関係が継続されることも心強く思っております。着任したばかりの 中野ITイノベーション課長についてはIT人材の育成にご関心 があるようですので、引き続き、U-22プログラミングコンテスト、ベンチャー人材育成のCSAJファンド、ドローンプロコンなどで支援して頂けるのではないかと期待しています。 セキュリティ課長も師田氏から奥家課長 に代わりました。先日、お会いして当協会の業務の説明をさせて頂きましたが、10年前に情報処理振興課の補佐をしていたせいもありIT業界の事情に明るそうで、データ適正消去実行証明協議会、セキュリティ人材育成、Softwear ISACなどの話も早速ご理解いただき適切な助言を頂くことができました。
 内閣改造ですが、予想通り、 世耕経済産業大臣は留任 でした。安倍総理の特命で前職からロシアとの経済協力担当大臣も兼務している上、ロシアとの経済協力の中心は経済産業省所管分野ですので、北方領土問題との関係で留任させざるを得ないとみていました。これで世耕大臣が主導する IT投資優遇税制が今年の税制改正論議の土俵に乗る ことは確実と思われますので今後に期待したいと思います。
 ただ、何といっても最大のサプライズは、同期の 齋藤健の農水大臣就任 でした。次回の同期会はSP付になるなぁと思った次第です(^_^;) これまでも、山本前農水大臣と荻原会長が懇意で、今年の賀詞交歓会、総会懇親会にも来賓でご挨拶して頂きました。これを契機に、農水省の別所技術統括審議官のところとは農業のIT化をテーマにセミナーの共催など連携させて頂いています。特に、農業データ連携基盤(データプラットフォーム)では利用促進のための民間の協議会も近く立ち上がることを受けて、当協会でも「農業ICT研究会(主査:ネクストスケープ社の小杉社長)」を立ち上げる予定であり、農業を新たなビジネスのフロンティアと考える多数の会員企業が参加することになっています。このことは私から大臣就任のお祝いメールでも本人に伝えましたので、スケジュールが合うかどうかわかりませんが、 来年の賀詞交歓会【平成30年1月17日(水)17:00~19:00】に齋藤農水大臣もご招待させて頂こうかと思っている次第 です。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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