「専務のツブヤキ」
~スマートSME(中小企業)研究会と経産省と総務省の連携について~

2017年4月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 3月29日に中小企業庁の主催する『 スマートSME(中小企業)研究会 』にオブザーバーとして出席してきました。座長は松島桂樹(一社)クラウドサービス推進機構理事長、業界からは角一幸(株)TKC代表取締役社長、是枝周樹(株)ミロク情報サービス代表取締役社長CEO、辻庸介(株)マネーフォワード代表取締役CEOらが委員として参加していました。同研究会設置の趣旨は、中小企業のIT化、それに伴う生産性向上を支援するためには今後はクラウドが基本的方向であり、中小企業へのクラウド導入に向けた支援体制、企業間連携、サイバーセキュリティ対策を検討することとのこと、中小企業庁としては 来年度通常国会で新法の提出 も睨んでいると推察しています。
 また、同研究会において、クラウドも対象とした中小サービス業者向け IT導入補助金 (2/3補助、上限100万円、平成28年度2次補正予算:100億円)について 全国で7511件が採択 されたと報告がありましたが、

  1. 中小企業から見てどのITツールが生産性向上につながるか分からない
  2. 事業の継続性に関する情報が開示されていない
  3. セキュリティへの対応

 などの課題も示されました。衆議院選挙の時期とも絡む思われますが、 秋の臨時国会で補正の議論が出れば必ずIT導入補助金は再び俎上に上る と思われますので、今後は上記課題を改善した運用が望まれると思われます。
 一方、CSAJとしては、上記3.セキュリティへの対応に絡みますが、PSQ認証を何らかの形でこの議論に絡ませられないか、できれば 中小企業へのIT導入についてPSQマークを何らかの安心の目安として推奨してもらえないか など議論の土俵に乗せられればと考えている次第です。
 また、第四次産業革命の推進等に向け、官民データ活用推進基本法(昨年12月14日施行)等も踏まえ、 3月から総務省・経済産業省共同でIT本部等と連携しつつIoT関連の様々な政策を推進 するそうです。以下の通りプレス発表がありました。

 伝え聞くところによれば、世耕大臣と総務省のT局長はご昵懇の仲とのこと、その辺のところから出た話かもしれないと思うところです。検討テーマとしては、(1)サイバーセキュリティ等への投資促進、(2)IoT人材の育成、(3)情報流通促進のための制度環境整備などの6テーマです。
 1.については、サイバー セキュリティ保険の普及、 予算・税制支援など具体的な投資促進策 (主に ユーザー向け か?)について検討するので、CSAJとしても過去のプログラム準備金、IT投資促進税制などを参考にしながら積極的に政策要望していきたいと考えています。
 2.については、先月末の閣議後記者会見でようやく世耕経済産業大臣から『民間事業者や大学などが行うIT・データ分野を中心とした社会人向けの職業訓練講座を産業ニーズに最も近い立場から 経産大臣が認定をする第4次産業革命スキル習得講座認定制度を創設 いたします。・・・第4次産業革命のもとの人材育成・教育に経産省としてもしっかり取り組んでいきたいと思います。』と記者会見で発表されました。これを踏まえ、今年度はCSAJとしても セキュリティ分野をまず先行させて大臣認定されるスキル習得講座の開発を加速 していくつもりです。また、厚労省も本年度から 3か年計画で第4次産業革命スキル習得講座の開発を支援する予算を確保し先月から公募 を始めましたので、CSAJとしても現在これに応募する準備を進めています。
 3.については、官民データ利活用推進基本法第8条に規定されている 官民データ活用推進基本計画が5月頃に策定 されるようです。これについては先月セキュリティ委員会セミナーで福田衆議院議員にご講演して頂きましたが、その意図は 政府の持つ情報は洗いざらいオープンにし、その優先順位を決め、民間に利活用 してもらって経済の活性化につなげたいとのことでした。同計画策定を契機に経産省・総務省とも連携して本腰を入れるようですので今後に期待したいと思います。
 最後になりましたが、 4月10日からCSAJ4階に『コワーキングスペース』 できました。受付をして頂ければ会員であればどなたでもPCを持ち込んでの作業が可能です。既に何人かご利用頂いたようですが、特に当協会のセミナーや研究会等に参加する際の空き時間の有効利用でご活用頂いているようです。会員の皆様方の益々のご利用をお待ちしております。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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