「専務のツブヤキ」
~引き続き第4次産業革命と働き方改革の推進です~

2017年3月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 着任からようやく9か月、CSAJファンドですが、2015年出資分の資産評価を終えるとともに、2016年には私自身で6件の採択にかかわりました。当初から予想はされていましたが、やはり2015年は総投資額24百万円の内、8百万円ほどの減損を計上しました。一方、予想外の嬉しい誤算ですが、現時点で 2016年に投資した3件で22百万円の含み益が生じています。 私なりに思うに、評価損を計上した案件は、(1)製品開発の詰め(テスト等)が甘かった、(2)無償アプリの有償化への適切な戦略がなかった、(3)経営者の営業力又は製品開発のマネージメント力に難点があった等でした。 この知見は、今後の投資審査及び出資先の経営支援に役立てたい と思います。
 一方、 含み益が出た又は今後含み益が出そうな案件は、既に大手ユーザーを確保していて、提供している製品・サービスもIoT、ビッグデータ、人工知能【AI】関連 でした。例えば、AIを活用したコールセンター用の双方向コミュニケーションツールやレストラン・ホテルの予約用の多言語対応のチャットシステム、IoTと言えますが損保用の現場に人を派遣せずに事故車の査定ができるシステムです。また、2016年度2次募集で採択したのも、IoT・ビッグデータ関連のウェアラブル端末を使った健康アプリ、GPSを使った物流の動態管理システム、情報流通市場のプラットフォーム事業の3件でした。このようなことから、今後ともスタートアップ事業は、IoT、ビッグデータ、AIなど 第4次産業革命関係の案件を中心に投資していければと思っている 次第です。役人を33年もやって後、まさか自分がファンドの運営に携わる立場になろうとは夢にも思っていませんでしたが、最近、この仕事、意外と様になってきたような気がしてきて不思議な気持ちです(^-^;
 さて、CSAJも働き方改革を進めています。13日(月)から事務局も4階から3階に移るとともに私を除いて 事務局全員がフリーアドレス化 し、特定の机を持たなくなります。また、 4階の空いたスペースは会員の皆様のコワーキングスペースとして4月から解放する予定 です。周辺でちょっとパソコンを使って仕事をしたいという方に利用して頂けます。CSAJは2月6日に『働き方改革宣言』を出し、2020年までにテレワーカー率30%を目標としていますので、 コワーキングスペースが会員の皆様のテレワーク推進の一助になれば幸い と考える次第です。
 また、現在労働基準法改正の調整が大詰めですが、先日 厚労省の幹部(労働条件政策担当)が長期間労働の是正のお願いに来協 されました。その際、私から絶好のタイミングでしたので、『働き方改革宣言』を説明するとともに、当協会は受託開発中心のJISAとは異なり、パッケージを中心に自社製品を持っている会員が多いため、もともと主要な会員では平均残業時間は20時間程度であると説明させて頂き、理解を得たことは幸いでした。但し、製品リリース直前1~2か月は、その担当者に限っては月80~100時間程度の残業も有り得るので、 繁忙期の残業上限は100時間程度は必要である と意見を申し上げました。このような訳で、個人的には連合(100時間未満)と経団連(100時間)の調整の決着に注目していましたが、報道によれば昨日ようやく100時間未満で決着したようです。ただ、どちらでもさほど変わらない気がしますので、私的には連合は名を取り、経団連は実を取ったということと理解しています。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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