「専務のツブヤキ」
~働き方改革宣言と情報セキュリティ月間~

2017年2月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 今般、政府の『働き方改革実現会議』において、電通の事件に大きく影響を受けて長時間労働の是正に関する労働基準法の改正議論が新聞紙上を賑わしています。CSAJでは昨年11月に 業界毎の事情を考慮しないで一律に所定外労働時間の上限を規制することには反対 である旨を働き方改革に関する要望書にしたためて経済産業大臣に提出したところですが、残念ながら現在 月60時間を一律上限とする方向 で議論が進みつつあるようです。ただ、巷ではIT業界は3K(きつい/汚い/危険)どころか、7K?(きつい/帰れない/給料が安い/規則が厳しい/休暇がとれない/化粧がのらない/結婚できない)とも言われているそうです。IT業界のこのようなイメージを払拭し、優秀な人材の確保の観点から、CSAJとして2月6日に 長時間労働の根絶と多様な働き方(2020年までにテレワーカー率30%、兼業・副業の自由化など)の推進 を掲げた『 働き方改革宣言 』( http://www.csaj.jp/NEWS/pr/170206_hatarakikata.html )を経済産業省に提出し公表しました。昨年12月の理事会で既に『 働き方改革研究会 』が発足しておりますが、今後はこの『働き方改革宣言』の具体策について議論が進んでいくことを期待する次第です。
 ところで、皆さま、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が平成21年度から 毎年2月 を「 情報セキュリティ月間 」としていることをご存じだったでしょうか?期間中、情報セキュリティに関する様々な行事が集中的に開催されていますが、その中で最大のものはIPAが開催した「 サイバーセキュリティシンポジウム2017 」(2月8日)でしょう。国会開催中のため世耕経済産業大臣はビデオでのご挨拶でしたが、ちょっと驚いたことに公の場で初めて「 サイバーセキュリティ投資に対するインセンティブ 」に言及されました。私的には大臣の念頭にはサイバーセキュリティ投資に対する優遇税制の創設があると理解しました。来年度の活動の重点事項を現在CSAJ内で検討中ですが、会員アンケートによれば政府への政策要望への期待が最も高かったことから、今後は セキュリティ投資に対する優遇税制措置についても要望書の提出を検討 する必要があると思った次第です。
 最後になりますが、私も情報セキュリティ月間の一環ですが、NISCの呼びかけに応じて情報セキュリティに関するコラムの執筆に協力させて頂きました。私のコラムは『あらゆるサービスにパスワードが導入され、もはや 個人で10や20のパスワードを持つのは当たり前、これらを個人で管理するのは限界 に来ているのではないか、 今後は生体認証端末の普及に期待 したい』という内容ですが、ご関心の方は以下のURLでご覧頂けます。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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