「愛と繁栄を実現する経営改革」形式病 蔓延中! 新型コロナだけじゃない

2020年3月1日

CSAJ 監事 戦略経営コンサルタント 公認会計士 山田隆明

 「経営理念を作りなさい」と本には書いてあります。
コンサルタントや士業もそう指導します。
 社長さんは、そういうものだと思い込みます。
本を見たり他社を参考にして、一日で経営理念を作ります。

<山田商店 経営理念>
1.お客様を第一に、2.社員を大切に、3.社会に貢献を。
立派な額に入れて社長室に飾ります。
経営計画書にも冒頭に記載します。
堂々と銀行へ持って行き、融資を受けます。
役所にも持って行き、補助金を受けます。
めでたしめでたし。
そして社長は自己満足にふけります。
「自分はお客様と社員を大切にし、社会に貢献している立派な社長なんだぞ」と。

 しかし自己満足だけで実践しません。
お客様や社員よりも「自分を大切に」であり、社会貢献よりも「銀座に貢献」です。
なぜ実践しないのか?
本や他人に言われて「形式的に」作ったからです。
体に染みついたことでなく、頭で丸暗記したことだからです。
体に染みついたことは、いつまで経っても忘れません。
しかし丸暗記だから、作り終えたら忘れてしまい実践段階まで行きつかないのです。

 そもそも、経営理念を一日やそこらで作ろうというのが無茶なのです。
経営理念というのは、会社が「危機に瀕し脱出した経験から学ぶ「失敗学」」です。
それを「後継者に戒め」として伝えるものです。
「こうやったから危なくなった、今後は絶対にこういうやり方はするな」と。
一方で、「ああやったから危機を脱出できた、だからああやれ」と。
社長在任中に一度経験できるかどうかの稀な経験に基づくものです。

 今日のわが国には、「形式だけ」が多く見受けられます。
「何のために作るのか、なぜ必要なのか」を考えず、単に「形式的に」作るケースが。
これでは、「方向を誤り」かねません。
その結果「いくら努力してもうまくいかない」弊害が発生します。
そもそも努力の方向が間違っているのですから。
 この弊害は「形式病」といわれます。
「形式病」で作ったものは効果が出ません。
 これはなにも「経営理念」に限った話ではなく、「計画」に関すること全般に該当します。

 「形式病」の弊害は、「効果が出ない」点だけに留まりません。
だれでも計画を作れば、次には達成に向けて進んでいるか「管理」したくなります。
ここが問題の種です。
計画どおりにいかないと、「何やってんだ!」と社員を叱ります。
そもそも計画自体が間違っているのに。
こうなると社員の「士気は低下」し、会社はうまく回りません。

 これは、「いったん立てた計画は必ず達成せよ」との悪しき慣習による弊害です。
こちらの弊害は「計画達成病」といわれます。
「形式病」と「計画達成病」が重なると、相乗効果で弊害は極めて大きくなります。

 今やあちこちで「形式病」と「計画達成病」が蔓延しています経営者は、知らず知らずのうちに感染されていきます。
自分で感染を防ぐのは結構大変です。
「外部の人で」感染を指摘してくれる人がいるといいですね。

(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
わくわく経営株式会社 代表取締役
戦略経営コンサルタント 公認会計士

山田 隆明Twitter

「社長様のビジョンを笑顔に変えるパートナー」。

◆コンサルティング概要

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成果物を経営戦略としてまとめ、さらに数字化して経営計画を立てます。

◆プロフィール

 営業時代に「お客様のためなら泥にまみれることもいとわぬ営業マン」と称され、後に「何度も破綻寸前企業改革の修羅場をくぐり抜けた公認会計士」と呼ばれた、『社長様向け「経営改革コンサルタント」』。

  • 基本スタンス=「『追求すべきは、自己の利益ではなく、お客様の利益』との姿勢で経営すれば、業績は必ず上向く。」
  • ミッション=このスタンスを会社に浸透しきるまで徹底的にお伝えする。

「下積みの苦労」を重ね「痛み」の分かる「経営者の相談相手」。

 大手IT企業インテックにて10年間飛込み営業を、その後公認会計士試験に合格したものの最初は年齢制限の就職難に遭い苦労。
公認会計士・税理士・ITコーディネータとして25年間約80社の会計・税務・コンサルティング、および「社長様の経営相談」を。
 経営改革では、7件の"破綻寸前企業のソフトランディング改革"(会社整理によらず経営改善等により回復させた)の実績あり。
加えて、現在、上場企業2社、一般社団法人1法人、学校法人1法人の社外役員を務める。
令和元年、AIPA認定AI・IoTシニアコンサルタント資格取得、JDLAのG検定合格。

  • 2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。
  • わくわく経営株式会社 代表取締役

◆経営コンサルティング内容

(経営計画) 中長期経営計画、短期経営計画、PDCA管理

(経営戦略)

  • (モノ) 新事業・商品戦略、市場戦略、販売戦略、営業改革
  • (ヒト) 組織改革(経営戦略達成組織へ)
  • (カネ) 破綻回避対策、資金調達、税金対策、管理会計
  • (研修講師) 経営計画、管理会計

URL  : https://www.wk2.consulting/
E-mail : yamada.takaaki@wk2.consulting

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