「愛と繁栄を実現する経営改革」キミが今やっているのは何のための仕事か?~優良企業への道~
2018年4月1日
CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明
キーエンスの創業者社長滝崎武光は、いつも現場を回っては担当者に「いま君はこの仕事をやっているが、それは何のためにやっているのか?わかってやっているか?」と質問したという。
担当者が明確に答えられないと、上司を呼んで注意し、社員全員に仕事の目的を把握させた。
その結果、同社は「各社員が常に考えて仕事をする会社」になり、超優良企業へと成長していったと聞いている。
最近読んだ”トヨタ物語”(野地秩嘉著 平成30年1月 日経BP社刊)にも同様のことが書いてあった。
「強さとは「自分で考え、動く現場」を育てることだ」と。(このフレーズはそのまま同書のサブタイトルでもある。)
面白い本だった。読んでみて「やっぱりそうだった」と実感した。キーエンスと同じく「考えること」こそが超優良企業への道なのだと。
私はこれまで数多くの会社を見たきたが、強い会社と弱い会社の分かれ目はこの点に尽きると思う。
強い会社は、たしかに「各社員が常に考えて仕事をする会社」である。反面、弱い会社の社員は「前例踏襲」だ、ロクに考えない、毎回同じところで同じ間違いをする、進歩がない。
では、なぜこれが原因で差がつくのか?以下が考えられる。
まず、「前例」は前任者が考えたもので自分たちの責任ではないから、ミスが発生しても他人事で済ませてしまい、積極的には改善策を考えなくなること。だから強い会社の社員は”指示されたことだけでなく、指示されないことまでも積極的に”やるようになるが、弱い会社の社員は”指示されたことすら”やらなくなる。
また、「前例踏襲」では社員が仕事を覚えず、社員自体のスキルが上がらないこと。
さらには、今日の変化の激しい時代には「前例」自体が変わってしまい役に立たないことなどが考えられるが、これ以上前例踏襲の弊害をあげても面白くないのでこの辺にしておく。
大切なのは対策だ、すなわち会社を強くするにはどうすればよいか?
答を口でいえば簡単だ、キーエンスの滝崎武光氏のやったように現場の担当者に問うて教えて回ればよいのだ。
問題は「実行するかどうか」だ。
人はだれでもこれまでのやり方を貫こうとし、他人から改善せよと言われると抵抗する。その抵抗を押し切って改善させるのがいかにたいへんなことか!
現場に入った瞬間から皆に白い目で見られ、無視され、総スカンを食わされ、ののしられ、つるし上げにあう。毎日が針のムシロだ!
しかも少しでも手綱を緩めたらすぐに前例踏襲に逆戻りだ。「カイゼンに終わりはない」!
そんな苦労をしたからといって、給料が上がるわけではない、ほめられるわけではない。しかしそんなことはどうだっていい、損得勘定を度外視したバカでなきゃできない!
こうしたバカたちの並々ならぬご努力の結晶が優良企業なのだ!
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(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。