「愛と繁栄を実現する経営改革」社長の責任
2017年8月1日
CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明
経営意志決定は、経営者とりわけ社長の仕事である!
当たり前だがこれをやっていない社長をよく見掛ける。
社長が行うべき経営意思決定を社員にまかせ、
社員が行うべき日常業務を社長が一所懸命に行っている。これでは本末転倒だ。
それには、一つには、社長の性格がある。
社長自身が日常業務にまで手を出さないではいられない性格の持ち主というケースだ。
社長が日常業務に時間を取られる結果、肝心の経営意思決定にまで手が回らない。
いつも「時間がない」が社長の口癖だ。それでいて社員は時間を持て余している。
二つには、「民主的」との美名のもとに、社員も経営に参加させるべしとの考え方だ。
これは一見もっともらしく聞こえるが、「経営意思決定」と「日常業務執行」を混同している。
日常業務はまかせるべきだが、経営意思決定はまかせてはならない!
じっさい、社員に意見を求めたとして、求められた社員が本当に会社によかれと思う提案を出すだろうか。
出すには出すとしても、提案が採用された時の、自らの「権限」と「責任」というものを考えるだろう。
すなわち、まず、彼らは他部署に対しては「権限」を有していないから、実行に移す段になって困難が伴う。
また、首尾よく実行に移されたとしても、結果的に上手くいかなければ提案者である自分に「責任」が発生する。場合によっては社長より重い「責任」が。
特に変革を伴う提案となればなおさらである。
となると、利口な社員はリスクを避けようと提案をためらうだろう。本当に会社によかれと思う提案よりも、せいぜい無難なものでお茶を濁すのが関の山だ。
ちょうどボトムアップで予算申請させるときに、下の者ほど保守的な(余裕を持たせた)金額を言ってくるのと似た現象がここでも起こるのだ。
だから、経営意思決定はまかせてはならない。社長は逃げることなく、経営の責任をすべて背負わなければならない。要は、社長の責任は社員と違って重いのだ。
ここを理解していない社長がいるから困りものなのだ。
社長を引き受けたからには、すべての責任が社長にのしかかってくる。それをしっかりと受け止めなければならない。社長に逃げ場はないのだ!
この点について一倉定は「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、社長の責任である。」と言っている、そのとおりである。
私はこういう社長を見掛けると、いつもこう申し上げる。
「会社が潰れたとき、マスコミも借金取りもみんな社長のところに来るのですよ。へたに社員のせいにすると余計に社長が叩かれますよ」と。
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(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。