「愛と繁栄を実現する経営改革」個別の経営問題を事前に回避するツール
2017年5月1日
CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明
経営計画があれば日々発生する個別の経営問題のうちの多くを回避できる。
個別問題の多くは、計画性のない「成り行き経営」に起因して発生するからである。
例えば、売れ行きは好調なのに、計画的な技術者育成を怠ったために、慢性的な供給不足から脱出できない製造業T社。
あるいは、販売拠点を計画的に整備しておかなかったため、今になって販売拠点不足の問題に頭を抱えるF社。
さらには、積極的な販売戦略を持たないため、受動的に顧客を待つだけの姿勢にならざるを得ず、売上が安定しないコンサルタントM氏など、「成り行き経営に起因する」個別問題の相談が毎日のように飛び込んでくる。
かつて慢性的な供給不足に悩んでいた上記の製造業T社は、納期遅れのお詫びに各顧客を回るときに、「なぜ当社商品を選んでくださったか」すなわち顧客の要求と当社商品の強みもあわせて聞いて回った。こうして得た「お客さんの要求するところ、自社の強みとするところ、ライバルの弱いところ」データ(3要件データ)をもとに、社長は今後3年間にこの商品がどのくらい売れるかを推測した。そして遅くとも2か月以内にお客さんにお届けできるよう技術者を育成する検討を始めた。その際、技術者の卵を他部門から移籍させる必要があったため、社長自らヒトの調整を行った。
次いで、モノ・カネについても調整した。具体的には、この主力商品の技術者育成にカネをいくら割り振るかその資金をどうやって調達するか、他の商品については・・・など個別の検討から始め、最後に全社的に集計調整してモノ・カネの配分を決めた。
ここまでの作業は社長にとってたいへんであった、なんせ今後の事業構造を決める大作業だからだ。上述の3要件データを把握したうえで、全社的なバランスを取りながら判断する。判断を誤ると会社が傾くことになりかねない、まさに会社の舵取りだ。しかもこの方針でやったときに最低限必要な利益額をクリアしているかどうか、数字も睨みながらやる必要もある。
大いに考え悩んだ末にT社長は中長期経営計画を作り上げた。その結果、供給不足は一気に解消に向かった。
T社のポイントは「何を売るか・作るか」との商品構成であったのに対し、F社の場合は「どこに売るか」の販売地域であり、M氏は「どうやって売るか」の販売方法である。
一般的にはこの3つのポイントをトータルに決めることが経営計画立案には肝要といえる。
経営計画は、経営改革のまさに特効薬だ。
これが苦労して経営計画を立てた社長たちの実感である。
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(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。