「愛と繁栄を実現する経営改革」計画達成への誤った執着
2017年4月1日
CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明
計画達成に執着するあまり、誤った経営判断を犯すケースが驚くほど多い。
計画を早々と達成したときは「今期はもうOKだ、お疲れさま!」で、逆に未達のときは「もっと頑張れ!」式のパターンである。
これは逆である。
早々と達成したときこそ「もっと頑張れ!」だ。
早々に達成したということは、当初の会社見積が甘かったということで、実際の顧客の要求はもっと多いということだ。その分顧客の要求に応えきれていない!
だから、早々に達成したときこそ計画を上方修正して「もっと頑張れ!」とするのが、真に顧客の方を向いた正しい対応である。
K社は菓子パン屋である。あるとき、従来の菓子パンに加えてハンバーガーを新商品として投入したところ、バカ売れしてわずか1か月間で1年分を売り上げた。
このとき社長は経営判断を誤った。「来月からは未達の菓子パンに力を入れよ! ハンバーガーは達成したからもういいぞ!」と。
この事例を話すと、みなさん口をそろえてナンセンスとおっしゃる。「当たり前だ、こんなことは言われなくてもわかってるよ。ウチはそんなバカなことをするわけがない」と。
しかし実際の経営会議などでは「この商品は売れ行きが悪いから力を入れよ。あの商品は好調だからもういい」式の指示が実に多い。
PDCAの最後段階で犯す経営判断ミスは会社の命とりになりかねないが、こういった安易なミスを驚くほどよく見かけるのである。
原因は明らかだ。
計画の達成を会社の目的と勘違いしている。計画達成という内部の方ばかり向いて、肝心の外部すなわち顧客の方を向いていないことが原因だ。
甘かった内部見積にいつまでも固執することなく、実際に存在する外部顧客の要求に合わせて修正しなければならない。
会社の真の目的である「顧客の要求に応える」との基本姿勢を改めて認識し、「お客様」に立ち返るべきである。
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(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。