「愛と繁栄を実現する経営改革」高級品路線を!~何を売るか~
2017年3月1日
CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明
「高級品では数が出ない、数が出るのは低価格品だ、だから低価格品をやろう!」
この間違った方針のせいで破綻に至ったもったいない会社をあげれば枚挙に暇がない。
高級レインコートのアクアスキュータム、高級陶磁器のウェッジウッドなど。先日社長が交代した大塚家具も今は低価格路線で赤字苦戦している。
高級品市場はライバルが少なく実は「美味しい市場」だ。一方の低価格品市場にはライバルは数限りなく存在する。いったんそこに入り込んでしまうと熾烈な低価格競争に陥る。競争に勝とうとコスト削減・生産性向上で踏ん張ろうとしてもいつまでも持ちこたえられるものではない。コスト削減は、どこかで必ず品質低下を招くからである。
一方の顧客側も、「あのブランドがこんな安物に落ちぶれてしまったのか」と落胆する。落胆した顧客は安物に手を出さないどころか、これまで買っていた高級品からも離れていく。
低価格化路線に転換した会社はこのようなお決まりのコースをたどって破綻へと向かう。
これまでせっかく苦労して高級品で名を成しておきながら、誠に残念なことである。
もともと低価格をウリにやってきたところは、高級品に進出したくてたまらないのだ。だが「特色」がないため進出できない。ユニクロ、ニトリなどは最近高級品に挑戦したものの、うまくいかず低価格路線に戻した。サイゼリアは失敗を予期して挑戦すらしていない。何よりも今日の会計事務所業界がそうだ。多くの会計事務所は「特色」がないから低価格しかウリがない。顧客の方も会計事務所に求めるのは「経営指導」ではなく「安く無難な事務処理」だけだ。
低価格の彼らに待ち受けるのは、果てしないコスト削減競争、しかもいっときも気を抜けない競争だ。繰り返すがコスト削減はどこかで必ず品質低下を招く。品質を下げておきながら売値を上げようとするのはそもそも矛盾だ。だからいつまでたっても低価格路線から脱することはできない。ずっと熾烈な競争に耐え続けるしかないのだ。それに比べ高級品をもつ会社はいかに恵まれていることか。
高収益、安定経営は、安物では不可能である。平たく言えば、儲かるのは高級品なのだ。ライバルが少ないことに加え、特色があり、特色が信頼になりブランド確立になる。それに比べ安物では何の特色も持つことができない。
高級品路線でやってきたところは、冒頭に述べたようなつまらぬ欲にかられることなく、高級品の特色を維持し、これを自社の強みとしてしっかりと守りぬくことである。
これこそ、高収益、安定経営を続ける戦略である。
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(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。