「愛と繁栄を実現する経営改革」これでもうリスクは怖くない!~経営計画の役割
2016年6月1日
CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明
「経営とはリスクに挑むものだ 」「経営者は積極的にチャレンジしなければならない」などと言われます。
分かってはいても実行するのは難しいことです。というのは、積極的にチャレンジすればするほどリスクは高まり、経営者の不安も高まるからです。
では、積極的にチャレンジしながら、かつリスクを怖れず安心して経営できる方法はないでしょうか?
結論から言えばそのツールが「経営計画」です。
とはいっても、単に経営計画を策定するだけではそうはいきません。策定した経営計画をチェックすることが肝要です。
チェック内容は、経営計画で算出した利益額が「会社継続に足りているかどうか」です。
ここで会社継続の弊害となるものとは「リスク」です。ですから、リスクを考慮してもその利益額で足りるかどうかをチェックすることが必要なのです。リスクとは、災害、得意先の破綻、経営者の突然の病気などいろいろな損害の発生原因の総称です。
整理しますと、いったん策定した経営計画が「どれだけリスクに耐えうるものになっているか」ということです。
高リスクにまで耐えられる計画なら、それだけ経営者は安心して経営できるようになります。低リスクにすら耐えられないことが分かればその瞬間から不安だらけでしょう。
私はいつも、経営計画策定後にもうひと手間かけてこの「リスクチェック」をしていただいています。
具体的には、洗い出したリスクを項目ごとに金額換算し、それに発生可能性を掛けてリスクを評価します。
その際、経営者の主観が多分に入るため、強気パターン慎重パターンなど複数パターン作っていただくこともあります。
私の経験では、この「リスクチェック」のハードルは結構高いです。チェックしてみると当初策定した計画ではリスクに耐えられないことが分かるケースが多いです。じっさいそれを目の当たりにして一気に青ざめていく経営者をよく目にします。そこで慌てて経営計画を一から練り直すケースを。そして、きまって「最初にチェックしておいて良かった、早く気付いたから。もし後になるまで気付かなかったら大変なことになっていた」とおっしゃいます。
このリスクチェックはやったからといってリスクが低くなるという訳ではありません。そうではなくリスクを想定することができるようになるのです。「想定外」でなく「想定内」に。想定内にできれば当初からある程度のリスクを織り込んだ上で経営できます。
そうなれば経営者は、リスクを特段怖れることなく安心して経営できるようになり、積極的にチャレンジすることができるようになります。これが経営計画の役割、言い替えれば経営計画を立てる最大の効用と考えます。
(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。