「愛と繁栄を実現する経営改革」失敗するパターン4:弱みを克服しなさい
2016年3月1日
CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明
ソフト開発元請のA社は自社の強みが下請管理にあることに気付いておらず、下請管理者の育成に注力せず苦手な新規大企業向け営業にばかり力を入れたので業績はいつも低迷しています。一方のB社は強みが下請管理にあることに気付いており、下請管理者の育成に力を入れたのが功を奏して好業績を続けています。
A社の失敗の原因は、強みを伸ばさず弱み克服に力を入れた点にあります。
会計事務所は「弱みを克服しなさい」と指導しますが、正しくは「強みを伸ばしなさい」です。
そもそも、人というものはみながそれぞれに強みを与えられています。強みを活かして自分の職業にするようにと。そして各自がそれぞれの強みを発揮し互いの弱みを補い合うことにより社会全体が調和するのです。
会社も同様で独自の強みを発揮するから存続できるのです。その結果経済も成長します。別の観点で言えば、お客様は買う製品を選択するときに、まずその会社(製品)の強み(良さ)を検討します。まず最初に強み(良さ)が自分の目に留まらなければ選択の土俵にも上りません。
一方で弱みはといえば、誰もが弱みだらけです。数限りなくある職業のうちの一つか二つを除いてはすべて素人なのですから。弱みを克服するなんてことは、どだい無理なのです。
往々にして学校時代に優等生だった人に限って「弱みを克服しなさい」と言います。彼らはオール5でした、がんばっても5より上には行けないかわりに4があればそれを克服するよう課されたからです。 しかし社会に出ると状況は変わります。がんばれば6にも7にも10にも伸ばせますがそういう分野はごく一部だけです。それ以外のほとんどは苦手分野なのです。
では、いつも質問を受けることですが、「自分の強みはどうやって見つけるのか?」と。
自分のことは意外と分からないものです。
最適な方法は、お客様ニーズを把握するのと同様、やはり「お客様に聞くこと」だと思います。
自社製品を選んでくださったお客様は、他社製品よりも自社製品の方が自分のメリットになると判断したから買ってくださったのです。どこがそのお客様のメリットになったのか、それが答です。
しかし私の見る限り多くはこれをやっておられません。遠慮があるからでしょうが、売り込みに行くよりは、やり易いはずです。
今回の「強みを活かすこと」と、前回までに述べた「お客様のニーズに応えること」から、経営計画の立て方が見えてきます。
経営計画PDCAとはこの二つを踏まえて、今後どの事業に力を入れどの事業を捨てるかを決め、そのためのヒト・モノ・カネの使い方を計画すること、それを数字化すること、それを達成するよう早急な対策を打つことです。後の回で詳しく述べます。
(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。